神様、色々やべぇ。

神様、色々やべぇ。


「ガチの最終決戦をはじめよう。俺に勝てたら解放してやる。ま、仮に、俺に勝てたとしても、解放されるのはお前だけだが」


「っ」


「椿美代には、あそこにいるガキどもを全員殺すように指示してある。というわけで、お前に残された道は二つだけ。俺に負けて全滅するか、俺に勝って、独りさびしく元の世界に帰るか。さあ、お前が進む道は、どっちかな?」


「……どちらも否定する。椿美代とあんたを殺して、トゥルーエンドを目指す」


 言うと、トウシは、モンジンに背を向け、椿美代に向かって特攻をかまそうとした。

 限りなく最短での必殺を求めての行動。

 迷いはなく、よどみもなかった。

 確実にしとめられると確信できた。


 ――が、


「俺をナメるのは自由だが、そのツケは必ず払ってもらう」


 椿の首を落とそうとした直前、

 後頭部に衝撃が走って、

 気付けば、トウシは、頭部から地面に潜っていた。


「ぶはぁ!」


 地面から這い出したところで、


「ぐぅえぇっ!!」


 さらに、もう一発、脳天に一撃をくらって、視界に黒い赤が滲んだ。

 目の前がグラングランと揺れる。


 モンジンは、そんなトウシの頭部を掴み、


「全身全霊を捧げて、俺と対峙したとしても、お前ごときじゃあ、俺にちょこっと遊ばれて終わり――それが現状なのに、俺を放っておいて、椿を倒す? 無理に決まってんだろ、ナメんな、ボケ」


「ぐっ……ぅう……」


「ほら、見てみろ、トウシ。もう半分以上、椿に殺されたぞ」


 視線を向けてみると、

 椿は、無感情に、たんたんと、神話狩りのメンバーを狩っている。


 虹宮という良質な魂魄を喰らった椿の成長は著しく、

 また、岡葉・味崎と、立て続けに、隊長クラスが捕食されてしまったものだから、

 もはや、トウシの抜けた神話狩りに勝ち目はなかった。


 神話狩りのメンバーは、どうにか椿を抑え込もうと、必死に闘っているが、

 椿が強くなりすぎていて、カウンターの一撃をいれる事すらままならない。


「簡易オートとはいえ、正式に俺の制御下にある今の椿美代は、バロールともやりあえるくらいの凶悪な強さになっている。あいつらじゃ、絶対に対抗できない」


 また、あっさりと殺された。

 そして、また殺される。

 死体は喰われ、

 また椿は強くなる。

 負の連鎖は止まらない。


「やめ……ろ」


「ん? 何か言ったか?」


「やめろや……ええかげんにせぇ……なんで……こんな……あんた、前に、「絶対にクリアできん条件で全滅はさせん」って言うとったやないか……なのに、どうして……」


「理由を教えてほしいって? なら、答えよう。お前の限界を見てみたくなったから」


「……」


「タナカトウシ。狂気的な頭脳を持つ者よ。お前は、まだ、お前自身の限界に達していない。絶望を知り、自分の深層に辿りつけ。最果てに辿り着いたお前となら、多少は楽しいゲームができるはずだ」


「……やっぱり……遊び相手を探すのが目的……そんな……そんな下らない理由で……」


「そんな下らない理由でお前達をもてあそんでも許される。それが俺だ。比類なき最強。無敵の神。命の王モンジン。よろしくどうぞ」


「クソ邪神がぁああああ!!」

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