『無敵のチート』VS『無敵のチート』

『無敵のチート』VS『無敵のチート』



 ミシャの『死を喰らう天災』は、ゴールドスペシャルの中では破格の性能を誇っており、ただでさえチート扱いされていたのだが、それが、『主の許しを得て神となり、ゾメガや平と死闘を繰り返した』ことで、プラチナスペシャル『永遠を満たす邪神(死霊系のスキルを使用する際の、ありとあらゆる制約が極限まで軽減される)』へと進化したため、より凶悪さが増した。




 ゾメガは、『オルゴレアム化』という、『特殊条件を満たす事で、一時的にMPを無限に出来る』というゾメガだけのチート固有技能を持っている。

 『オルゴレアム』は、ゾメガの本名ではなく、第二アルファの魔王が継ぐ名前(センエースは、第二アルファ産まれではないため、オルゴレアムの名を受け継ぐことは出来なかった)。

 『オルゴレアム化』というチートを最大限に利用すると、MPをボラれる『異次元砲』も『フルパレードゼタキャノン』も撃ち放題になる(さらに、ゾメガのビルドは、フルパレードゼタキャノンの冷却時間を短縮する事に特化しており、休みなく、撃ち続ける事が可能)。


 ※ ちなみに、オルゴレアムの意味は『正当な魔王』であり、コスモゾーンに登録されている『ロギアネーム(その名を冠しており、かつ、その名を有するに相応しいとコスモゾーンに認められたら、その名前に設定されている恩恵を受ける事が出来る)』の一つ。

 現在では、『センエース』も、ロギアネームとして登録されている(ただし、条件が厳し過ぎて、コスモゾーンから『センエースの名を持つに相応しい』と認められることは、本人以外、ほぼありえない。ちなみに、『ゼン』は、まだ完全に認められてはいない。というか、割合でいうと、1%を切っている)。




 ミシャもゾメガも、イカれたチートを保有しており、かつ、そのバグ的なチートを、フルで活用しているが、互いを殺し切ることが出来ない。

 『家族だから遠慮している』という訳ではなく、どちらの能力も破格すぎて、互いを削り切ることができない。

 『絶対に勝てる能力』VS『絶対に勝てる能力』

 ほこたてっ。



 ――そんなエゲつない闘いを見守りながら、平熱マンは、


(懐に飛び込めさえすれば、どちらも対処可能……ただ、飛びこむための足回りと、その後に削り切るための火力を両立するとなると……今のビルドでは、ノビシロが緩すぎて、いずれ、対応できなくなる……)


 ゾメガもミシャも天才。

 解放されてからというもの、ハンパじゃなく強くなっている。


 それゆえ、自分では、いずれ、二人の成長速度についていけなくなるのではないかと平熱マンは、不安になる。


 ――実際のところ、三人とも『高い次元でどっこいどっこい』の超天才であり、誰か一人が置いていかれるなんて事は起こり得ないのだが、


(もっと……もっと突き詰めなければ……限界なき最善を……)


 基本的に自己評価が低く心配性な平熱マンは、際限なく湧き上がってくる『このままだと二人に置いていかれるだけにあきたらず、二人の足手まといになってしまうかもしれない』という焦燥感に押される事で、むしろ、一足はやく、二人よりも一歩上の領域に辿り着いていた。


 一歩先に行かれた事に気付いたゾメガとミシャが、猛烈に平熱マンを追いかけようとする――その圧力にビビってさらに加速する平熱マン。

 だから、さらに――と、なんだかんだ、すったもんだありながら、互いを極限に高め合う最高の三すくみ。


 才能や根性だけではなく、それぞれの相性や、『同じ空(センエース)を見上げている』という高次認識が、三人を、これほどの高みまで引っ張ってきた。

 『センエースの弟子』という『豊潤な繋がり』があったから、本来は超えられなかった壁を超える事が出来た。


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