セイラ(ニー)VSエンシェント・ジズ

セイラ(ニー)VSエンシェント・ジズ



「……っ、いや、でも――」


 クレーマー化しているハルスに、

 ――『ニー』が、


「ずいぶんと心外な態度だね、ハルス」


 溜息と呆れ交じりの声で、


「君は、もしかして、このニーが、たかがジズごときに、負けると思っているのかな?」


「……お前が図抜けて優秀だってことは、ここまでの闘いで、充分すぎるくらい理解できた。ただでさえハンパないのに、セイラと合体したことで、今のお前はサリエリクラスにまで強化されている。本当にとんでもない召喚獣だ。まさに神獣と呼ぶにふさわしい」


「ふふん、当然の評価だね。なんせ、ニーは――」


「だが、お前の存在値は、ジズより下だ」


 ハルスのサードアイだと、デジタルに世界を測ることはできず、だいたいの大きさしか分からない。

 たとえば、エンシェント・ジズ(存在値86)とエンシェント・リヴァイアサン(存在値87)を見比べて、どっちが強いオーラを放っているか、ぶっちゃけ、ハッキリとは分からない。


 だが、『セイラ(ニー)』とエンシェント・ジズほどの差があれば一目で分かる。

 存在値の差が『5以上』あれば、普通に、どっちが上か判断できる。

 つまり、この二体のように、10の差があれば、間違いなく判別できるのだ。


 ハルスの結論。

 ――『セイラ(ニー)』では絶対にエンシェント・ジズには勝てない。



「まったく……本当に、ナメられたものだよ。しかたない。少しだけ、ニーが『誰の何』なのか教えてあげよう」


 そこで、ニーは、自分を纏っているセイラに、


「セイラ、かなりキツいと思うけど、死ぬよりはマシだから、どうか耐えてね」


「ぇ、え……な、何をするの?」


「君との相性は、どうやらかなりいいみたいでね。けっこうなところまで解放できそうなんだ。どうせ、これが最後の闘いだし、ナメられっぱなしというのも性に合わないから……ニーがいかにハンパないスーパーモンスターか、しっかりと教えてあげるよ」


「ちょ、ちょっ――」


 『ジズに対する恐怖』や、『ハルスが焦っている様子』や、『意味深なニーの警告』など諸々が合わさってパニックになっているセイラ。

 そんなセイラの感情を、まるっと無視して、ニーは叫ぶ。



「まずは、真・武装闘気!!」



 叫びに呼応し、ニーのオーラが膨れ上がる。

 スライムスーツの形状が少しゴツくなり、背中から翼が生えた。

 ニーは止まらない。


「続けて、真・武装闘気を超えた真・武装闘気! その名も、真・武装闘気2!!」


 形状がさらにゴツくなり、

 膨れ上がったオーラが『定期的にバチバチと走るイナズマ』を纏う。


「そして! これが!! ……ぬぬぬ……ぬぬぬぅうううううう!!」


 さらに、さらに、膨れ上がっていくオーラ。

 ついには、

 カッッ!!

 と、強い光を放ち、


 ……収束した時には、


「――これが、真・武装闘気3。時間がかかってすまなかったね。まだこの変化になれていない……って訳でもないんだけど、今のニーだと、これ以上の時間短縮はできないんだよね」


 かわいらしさなど微塵もない、禍々しさすら感じさせるバトルスーツに身を包むセイラがそこにいた。


 膨れ上がった膨大なオーラ。

 その存在値は90を超えている。


「ジズは、かなりHPが高い耐久型モンスターだけれど……ニーが本気を出せば……」


 ニーは、両手に、ガンガン魔力をブチこんでいく。


 残っていた魔力の95%ほどをブチこむと、

 狙いを定め、情け容赦なく、



「異次元砲ぉおおお!!」



 超出力のゲロビを放出。


 まったく可愛くない、エネルギーの暴走。

 龍の咆哮を想起させる凶悪な照射が、巨大な怪鳥を貫く。



 音が消えた時、そこには、ジズの死体が転がっていた。

 華麗なる一撃必殺。

 美しき瞬殺劇。



「ちっ、消滅はさせられなかったか……でも、まあ、このとおり、余裕のワンパンさ。ニーをナメちゃダメだって理解できたかな?」


 ニーの言葉に、


「ぁ……はい……」


 ハルスは、呆けた顔で頷くしかなかった。

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