存在値17兆の主人公が、神を殺す話

存在値17兆の主人公が、神を殺す話




 視線を戻したセンは、自分の奥底へとダイブする。


 思考を加速させ、



(時間は前にしか進まない。それはコスモゾーンの法則。絶対に歪まない秩序)


 時間の流れに差はあれど、『前に進み続ける』というルールに違いはない。


 センは、『神の世界』で『時間の運営』に関わった事もある。


 『運営』とはいっても、『手』をだした訳ではなく、

 一定期間、管理の役割を押しつけられただけ。


 その時に実感した。

 感動すらした。


 時間というシステムは、驚くほど精巧に出来ていて、Dアイデンティティよりも、さらに高い次元の『不可侵』を実現していた。




 神々ですら障れない法則。

 何モノも侵せないルール。




(……だが……その絶対的なルールにすら縛られない世界が……一つだけある……『そこ』の『何か』ならば、時間やDアイデンティティに障る事も、あるいは不可能じゃない)


 噂でしか聞いた事はない。


 『んなもんあるか』と小バカにしていた、神々の噂。


 究極超神の領域に至った者でも、『噂を聞く事』しか許されない世界。



 『全ての始まり。世界そのものが、【コスモゾーンの法則(イメージ的には、神の憲法)】よりも上位に位置するとまで言われている超次の聖域』



 そんなものが、本当に実在するのかと、誰もが疑問に思いながらも、

 しかし、その噂だけなら不自然なくらい誰でも知っている、神々の伝説。



「まさか……『ココ』は……」



 センは、ワナワナと震えながら、

 しかし、一度、首を振る。



「いや、そんな訳……だが……しかし、それ以外……」


 否定しきれない。


「ただのエックスじゃない……のか……? まさか、本当に……ぁ、ありえるのか? そんなことが……」


 材料がそろいすぎている。


「ぃや、やはり……それ以外に考えられない。というか……ああ、そうだよ。ダメなんだ。そうでなければ、ダメなんだよ……ここまできてしまえば……むしろ、それ以外の解答に辿り着いてはいけない」


 この『例外』だけは、複数あっちゃいけない。

 そこまで世界は歪んでいない。


 無数の世界を渡ってきたことで、センは、世界の精緻さを知った。

 混沌としているくせに、時折、深い調和を見せる、妙なツンデレ。


 世界は綺麗だった。




「正直、まだ信じられない……が……しかし……『ココ』は……おそらく……」




 まだ、確信はしていない。

 だが、それは、『可能性がある』というだけで狂っているエマージェンシー。

 もし、本当にそうならばと思うだけで、心が八方に跳ねる。

 それが、歓喜によるものか、単なる動揺か、今のセンには分からない。


 あまりにも、想定外すぎて、軽くパニックになっている。


 ドクンと脈打つ。

 魂が鳴動する。


 かすかに……しかし確かな畏れを抱きながら、センはソレを、口に出す。



「……原初の世界……」












  ――  イベントスイッチ001 ON  ――


 『禁域』が解放されました。







 If (神殺しのマトリクス)universal computer {

   ――Quantum Simulator ≒ ultimate laptop――

Time and space []=System .territory 《運命論的仮想世界√人工的量子ダイナミクス》();

   Fancy record〔(神を殺し、その先へ)(monkey shake)〕Closed=000 () inflation []



    // 異世界転生はもう飽きた。はじまり、はじまり //


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