チートリスト

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「もし、50以下を出したら、レッドスペシャルと借金を背負ってもらう」


「……借金は分かるけど、レッドスペシャルってなんやねん」


「簡単に言えば『欠点』だな。お前は最初から三つ持っている」


 『成長遅い』『成長超遅い』『成長超々遅い』

 これらマイナス的特徴がレッドスペシャル。


「スペシャルは色々と種類があるが、マイナス扱いはレッドだけだ。普通、スペシャルってのは『優れた資質』を指す『非常にありがたい』もの。『通常よりも早く剣の腕が上達』したり、『ピンチ時限定だが、魔法の威力が倍増』したり」


 スペシャルには大きく二つある。

 『視力が異常に良い』などの常時発動しているタイプと、

 『麻痺状態の時のみ、防御力2倍』などの限定条件下でだけ発動するタイプ。



「最高位の『ゴールドスペシャル』は破格で、『睨みつけるだけで、敵の存在値が下がる』なんて異常な効果を持つモノもある。スペシャルは、個性であり強みであり切り札であり可能性」


 スペシャルの種類。


 レッドスペシャル。   『欠点。マイナス要素』


 ブルースペシャル    『ちょっとした良個性』


 ブルーツースペシャル  『なかなかの強み』


 ブルースリースペシャル 『かなりの切り札』


 ゴールドスペシャル   『強大な可能性』



「ブルー以上なら、スペシャルは、あればあるだけ有利。どんなにショボいブルーでも、無いよりは絶対にマシ。そういう恩恵だ。しかし、レッドだけは、あればあるだけ人生の難易度が上がるお荷物」



「このサイコロ勝負で負けたら、そんなハンデと借金を背負って生きていかなアカンのかぁ……えっぐぅ……なんちゅう闇のゲームやねん」



「もし、最低値の17なんか出してみろ。レッドスペシャルを十個以上つけて、金貨一万枚以上の借金を背負わせる。ちなみに、金貨一枚の価値は一万円くらいだ」




「ハンデ十個に一億の借金……完全に詰むなぁ」




 と、そこで、センは右手に、文庫本サイズの小さな本を出現させる。




「これがリストだ。確認しろ。質問があれば、答えてやる」




 シグレは、渡された本を開いて中を見てみた。


 どの目が出た時に何が貰えるかが簡潔に記されている。


「この……51を出した時にもらえる、言語取得1%って、どういう意味?」


「文字通りだが?」


「いやいや、ほんまに1%なん? ウソやろ……って、見てみたら、一番の最高値を出しても70%やん。なに、この謎の厳しさ。普通、こういうのんって、せめて言葉くらいは喋れるようにしてくれるんが普通とちゃうん?」


「……『普通』ねぇ。……自分がテンプレ扱いされた時は怒ったくせに、俺のことはレプリカ扱いか?」


「ぅぐ……いや、でも……言葉がわからんかったら、それだけで詰むしなぁ……せめて……」


「お前、自分で日本語を何%くらい使えると思っている?」


「へ? え、えっと……どのくらいやろ……あ、でも、そう言われたら……50……いや、50もいけてへんかなぁ……知らん単語とか山ほどあるし、日本語は文法も難しいから、ちゃんと使えてへん時の方が多いやろうし……津軽弁とか沖縄弁とかも含むってなったら、まったくやし……あれ、あたし……もしかして、ほとんど日本語、出来てないみたいなもん?」


「そもそも、言語の百%理解なんて、神以外では出来る訳がない。よって、70%ってのは、『教養がある人間』とも流暢に『かなり高いレベルで会話ができる』という状態。この世界の言語は、英語よりかは多少難しいってくらい。1%理解できている状態は、英語で言えば中一レベル。中一程度は出来ていて、現地で揉まれれば、半年ほどで、充分に、日常会話は出来るようになる」





「……うーん、なるほど、OK。それは了解。ほな、次の質問な」


 そこで、シグレは、リストのとあるページに書かれている一文を指さして、






「この、80以上の目を出したら貰える『20ミリオンスライム』って何?」





 20000000匹のスライム。

 それは、かつて、センが―― 

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