存在値……たったの5か……ゴミめ……

存在値……たったの5か……ゴミめ……




 覇天虹玉の天輪。

 毘沙門天の剣翼。

 朧月華の長羽織。


 すべて、クオリティ1000の『究極超神器』。


 この三つの究極超神器の最も特徴的な性質は『異常なほど主を愛しているため、片時も離れようとしない』ということ。

 ――一言で言ってしまえば、文字通り『死んでも外せない呪いのアイテム』である。



 こんな、常に太陽級のオーラを放っている『頭おかしい装備』を、現世にいる間、むき出しにしておく訳にはいかないため、仕方なく、最高位のフェイクオーラを付与している。


 フェイクオーラは、高位になると、オーラを抑えるだけではなく、プラスで、他の性質も付け加える事ができる。


 このイカれた三種の神器に付与しているフェイクオーラの追加性質は、完全不可視化。


 『真なる神』の中でも、なかなか見通せる者はいない、究極の偽装。


 それを見通そうと思えば――


「俺の本当の姿を見通せるヤツが現世にいるとは、くく……なかなか面白い冗談だ。最高位のプロパティアイを持つ者は、神の世界の深層にもなかなかいないんだがねぇ」


 プロパティアイは究極の目。

 現世で使える者などいてはいけない、逸脱した力。


(くく、しかし、ありえねぇ話じゃねぇさ、第一アルファのシードなら……しかし、まあ、恐ろしいチート才能を持っているじゃないか。初期状態だけを比べてみれば、俺すらゴミに思えるぜ)


 そこで、アダムが、


「主上様の真なる姿が見えるとは、この娘はいったい……」


「ん? ぁあ、こいつは第一アルファ人だからなぁ。その稀有な特性ゆえだろう」


「ぉお……一目で出身世界を見抜くとは、流石でございます」


「ラメったスマホを装備している関西弁のギャルJKは日本以外に生息してねぇ。そして、俺は同じ第一アルファの出身だから分かった。それだけの話だ」


「流石でございます。そうではないかと予測はしておりましたが、改めて聞かされると、身と心が震えますなぁ。全世界の頂点、序列一位のアルファ、その主神。実績も力も究極位。それほどの御方に仕える事ができて――」


「俺は第一アルファ出身ってだけで、第一アルファの主神ではないんだが」


「またまた御謙遜を」


「ぁあ、もういい、もういい。黙れ。『またまた』『いやいや』の流れは時間の無駄だ。この場でハッキリと言っておく。今後、俺の事は一切褒めなくていい。なんも嬉しくないし、逆に鬱陶しいから」

「はっ、もうしわけ――いえ、なんでもございません」


 学習しないアダムの行動を見て、辟易した顔でため息をついたセン。


 と、そこで、


(ぁ)


 アダムの姿を改めて凝視するセン。


 露出度満点の、ほとんど変態みたいなエロ浴衣。


(プロパティアイを持っているなら、こいつの、このふざけた格好も見通せてしまう……)


 センは、視線をアダムから前髪パッツンに戻し、


(女子高生っつったら、アホほど多感で、大概、病的に潔癖……どうすっかなぁ……別に威厳を出したい訳じゃないが、エロジジイ扱いされるのは、単純にウゼェ――)



「なぁ、なぁ、神様。その女の人、カッコえぇなぁ。ビシっと鎧を着て、りりしぃて。なんや、理想の戦士って感じや」



「……あ?」


「え? なに? あたし、なんか変な事いうた?」


「お前には、アダムが……鎧を着ているように見えるのか?」


「それ以外の何に見えたらええんやろか……ちょっと分からへん」


「どういう……まさか、プロパティアイじゃない……のか? そんな、バカな……では、どうして……ちっ」


 そこで、センは、バチっと強めに片目を閉じて、

 『天』に向けていた『視線』をカットする。


 そして、彼女を見る目に少しだけ力を込めた。


(田中時雨、十六歳。存在値……5? なんだこのゴミみたいな数字は……第一アルファのシードなら、初期の存在値が低いことも充分ありえるが、『俺を見通せるほどの目』を持つ者が、これほどの低さというのは、流石に……)


 さらに、強く目に力を入れる。


( ――成長タイプ『超々々晩成型』。

  ――性質『成長、遅い』『成長、超遅い』『成長、超々遅い』

  ――全ステータス、極弱(容姿のみAAA+)。


 ひ、酷いな……いや、まあ、その分、スキルは破格のチートになっているはず……  )





  ――固有スキル『無し』。






(……無し? ……無しぃい?!)

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