.4

チャンもツァイもカオもそれぞれが得意の武器をもっている。強いか弱いかは別にして。

例えば、チャンは細く固いピアノ線を絶えず腕に巻いている。

皮手袋を常にしていて、いつでも相手の首に巻く事が出来る。

窒息死よりもピアノ線で首を絞め切るのだ。


カオは絶えずそばに従順で屈強な男達を置いている。カオはその男達を孫と呼び、その孫達はカオを爺さんと親しみを込めて呼んでいる。


ツァイはカオとチャンに相手にされてない。要は、カオやチャンのグループに入れないよそ者の子守りをさせる為にツァイをボスにしているだけである。


特にチャンからガキ扱いされている事はツァイ自身も分かっている。だが歯向かうのは明らかに不利なので怒りを表に出さない努力をしている。

彼の武器は若さ。しかしそれが一番強い武器なのかもしれない。

老齢であるカオだけが充分理解していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る