あたまのおかしいひとよ

かなしいかな

きっとおかしくなったのでしょう

くるしいかな

のがれるためにきがふれた

いかりかな

こころみだれてちぢぎれた

なみだかな

こえがつぶれてあたまもこわれ

みなみな

あたまがおかしくなった

それを人間といふのだと

笑う人がそういった


じめんにあしつけ

あしたのふあん

そらにてをむけ

ゆううつじかん

かぜにふかれて

そんざいいぎを

あたまがおかしくなりそうだ

それが人間といふのだと

幸せを得た人がいう


にがみをしり

ざせつをしり

どろみずをすすり

こころすりへり


苦労を知った分だけ人間になれるといふ

生きている人間は狂気の中にいる

狂気の中で踊り狂いながら

足を止めた瞬間に絶望を感じとる

そして、そこからどこにいくか

死を選び、死んだ人は人間だよと、君はいふ

選べるのは幸せだと君はいふ


わからないといふと

君は、狂人だからね、僕は

あたまがおかしいんだよ、といった

どうも分からず、分からず

だまりこくりと、ふと思い

そうだね、と口にする

君は笑う

それがよろこばしい

きっとあたまがおかしいのだろう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る