ブッシュドノエル殺人事件【なずみのホラー便 第55弾】

なずみ智子

ブッシュドノエル殺人事件(前編)


 俺が帰宅した時、すでに嫁はいなかった。

 少しばかりの不安はよぎったものの、すぐに帰ってくるだろう、と俺は楽観的に構えることにした。きっと近所の集会にでも参加しているのだと。

 けれども、嫁が帰ってくる気配は一向にない。

 俺の口から言うのもなんだが嫁はとてつもなく可愛い。嫁を見て、可愛いと思わない奴などいないだろう。さらに、愛想も良いうえ人見知りも全くしない俺の嫁。

 ふと思いだす。

 俺の友人のヨシオ。あいつは俺の家に来た時、何かと隙を見つけては、しなやかであり柔らかな俺の嫁の体に幾度も触ろうとしていた。

 まさか……

 俺のスマホが震えた。予想通り、ヨシオからの電話だった。

「よう。久しぶりだな。今、どこだ? 家か?」

「……家だよ。ヨシオ……俺がお前に聞きたいことがあるのは分かってるだろ?」

「ああ、もちろん、分かるさ。お前の大事な嫁だが今、俺の腕の中にいるぜ」

 俺の頬がカッと熱を持つ。ヨシオもそれを感じ取ったらしく、面白そうに続ける。

「お前、最近、嫁を可愛がってやってなかったんじゃないのか? 嫁は俺にすぐ股を開きやがったばかりか、俺の指使いにまでもメロメロだったぜ」

「ヨシオ! お前、よくも俺の嫁を!」

「……くくっ、そんなに嫁が大切か? 愛しいか?」

「当たり前だ!」

「だがよ、お前の嫁の方から俺の家に来たんだぜ。俺から誘ったり、拉致したわけじゃない。前にお前が嫁と一緒に俺の家に来たことあったろ? 嫁は賢いなあ。ちゃんと俺の家を覚えていたみたいだぜ。今日も窓の外から俺を呼んでいやがった。だから、俺は窓の鍵を開けて中に招き入れてやったんだ」

「早く! 早く、嫁の声を聞かせろ!」

「分かった。そう焦るなよ。ほんと過保護だな、お前は」

 少しの沈黙。

 この間にも、俺の嫁はヨシオの手に散々撫で回されているに違いない。

 そして、俺はやっと嫁の声を聞くことができた。

 ニャーンという可愛い鳴き声を。  

 そう、俺の嫁とは猫。嫁という名前の猫なんだよ。

 

※※※


「…………アホか」

 井地康子(いじやすこ)は、読んでいた文庫本を思わず放り投げそうになった。

 せっかくの休日。楽しみにしていた短編小説集の冒頭収録作品は、あまりにもくだらないオチであり、老木の樹皮のごとく乾ききった笑いすら出てこなかった。


 ネットでのレビューがそこそこ良かったから、期待し過ぎてしまっていたのもあるが、とっかかりとなる冒頭収録作品のクオリティは大切だ。

 最初が駄目だと、後も読む気がなくなる。以前に読んだことがある作家の作品なら次の話こそ期待、とページを繰ることができるかもしれない。けれども、初めての作家で一口目がいまいちだと……


 どうしようか、この本? 二束三文で売り払ってしまうのは、何かに負けた気がしてしまうし……

 康子がぼんやりと考えていた時、玄関のチャイムが鳴った。

 全く心当たりがないそのチャイムに、康子は身構えてしまう。

 

 井地康子、三十六歳、独身、会社員、アパートで一人暮らし。

 二〇一九年現在、自他ともに認める”喪女(もじょ)”としての完成形へと差し掛かっている。ちなみに、小説を読むこととコンビニスイーツの新商品のチェックが、康子のささやかな趣味であった。

 同じ喪女でもアクティブ系の喪女もいるかと思うが、康子は純然たるパッシブ系だ。人付き合いに至っても”浅く狭く”といった具合であるため、このアパートに訪ねてくるほどの付き合いをしている友人の顔も思い浮かばない。

 となると、やっぱりセールスもしくは宗教の勧誘か?

 

 しかし、ドアスコープを覗いた康子の目に映った来訪者は、お隣の奥さんであった。

 おそらく五十代だと推測されるお隣の奥さんの名前を康子は知らない。けれども、廊下などですれ違った時は互いに挨拶ぐらいは交わしている。

 それに数日前、康子が一階のポストの中に溜め込んでいた郵便物の一通を、すれ違いざまに落としてしまったことがあった。お隣の奥さんは、それを親切に拾って康子に手渡してくれたのだ。


 玄関を開けた康子。

 満面の笑みで立っているお隣の奥さん。

 彼女のその笑顔はニッコリというよりも、ニタニタと形容できるものであった。

 あれ? このの奥さんって、こんな笑い方する人だったっけ? いや、別にそんなに親しいわけじゃないけど……

 康子の足元から違和感がざわわ、と這い上がってくる。


「こんにちは。隣の者です。今日は井地康子さんに贈り物があります」


 あれ? あれ? 私、お隣の奥さんに名前を教えたことないと思うけど……あ、そうか……数日前に郵便物を拾ってもらった時に宛名――私のフルネーム――を見たのか。でも、突然どうしたんだろう?


 お隣の奥さんは、両手に持っている白くて四角い箱を康子にスッと差し出した。


「え、えっと……これは……?」

「すごく遠回しにヒントを言うなら、”木”に関連する名前のお菓子ですよ」

「……もしかして、バームクーヘン?」

「いいえ、違いますよ。もう、とぼけないでくださいよ。この箱の中のお菓子が何か、井地康子さんになら分かるでしょう?」


 康子のフルネームを二度もじっくりと味わうように口にしたお隣の奥さんの目じりの皺は、さらに深く刻まれた。腫れぼったい両の瞼も、ピクッと小刻みに震えていた。

「私は井地康子さんに、ブッシュドノエルを作ってきたんです。じっくり味わって食べてくださいね」


 ブッシュドノエル?

 確かそれってクリスマスならではのケーキだったような……今はまだ九月なんですけど……この季節感の無さはいったい何? 自宅でクリスマスに向けてケーキ作りの練習をしていたのだとしても、親しくもない単なる隣人にプレゼントとかするかな……


 困惑するしかない康子に、お隣の奥さんは手作りのブッシュドノエルを強引に押し付け、帰っていった。


 素人の手作り。

 世の中には手作りお菓子に拒否感を示す人もいるらしいが、康子はそれほど気にならないタイプであった。

 見るからに不潔っぽい身なりの人の手作りなら遠慮したかったが、お隣の奥さんはわりと身綺麗だ。きっと隣家のキッチンだって、清潔に違いない。

 そして、白い箱を開けた康子の目に飛び込んできたのも、見た目は充分に及第点のブッシュドノエルだった。

 だからと言って、積極的に口をつける気にはなれようか? 先ほどのお隣の奥さんの”笑顔のようであって笑顔ではない顔”が、康子の心に不気味な後味を残していた。


 とりあえず、スプーンを持ってきた康子。

 カッターの鋭い刃が飛び出してきたり、髪の毛がゾロリと出てくるといった嫌な仕掛けは、このブッシュドノエルの中にはないらしい。


 試しに一口分だけ口へと運ぶ。

 …………。

 即、ティッシュにペッと吐き出す。

 これは無理。

 魚みたいな生臭さをほのかに含んだブッシュドノエルなんて、これ以上は絶対に無理だ。

 小説や映画なら、一口目が”やや厳しめの味”でも後からじわじわと面白くなってきたり、思わぬどんでん返しがあるのかもしれない。けれども、食べ物に関してはそんなことは起こらない。


 お隣の奥さんには、明日きちんとお礼を言うつもりだ。

「とっても美味しかったです。ありがとうございました。ですが今後はこのようなお気遣いは無用ですので……」と、ご近所さんとの関係を潤滑にする油はしっかり敷いておくつもりの康子であった。


 しかし、お隣の奥さんから康子へのブッシュドノエルの贈り物は、この一回では終わらなかったのだ。

 ほぼ二日おきぐらいに玄関のチャイムが鳴らされ、「井地康子さん、またブッシュドノエルを作ってきたんです」と手渡される。いや、ぐいぐいと強引に押し付けられる。

「この間もいただいたので結構です」「いいえ、じっくり味わって食べてくださいね」と全くやり取りが繰り返される。

 一回目のブッシュドノエルは魚臭かったが、食器用洗剤でほのかに香りづけされているのでは、と思われる時もあった。

 もはや贈り物というよりも、攻撃だ。これはアタックだ。


 いったい、お隣の奥さんはどうしてしまったというのか? 何が目的なのか? なぜ、ブッシュドノエルなのか? そして、なぜ、”私”なのか?


 急に”おかしなスイッチ”が入ったとしか思えないお隣の奥さんからのブッシュドノエル・アタックは、康子のややふくよかな体だけでなく精神までもを、”クリスマスの丸太”で上からギュウギュウと圧し潰しにきているとしか思えなかった。

 



「……というわけなんですよ」

 会社の昼休み。

 三十円引きのインスタントラーメンを力なく喉へと流し込みつつ、康子は同僚の越光(こしみつ)さんに、ここ最近の狂気的な困りごと――計四回にも及ぶブッシュドノエル・アタック――を話した。


「そのお隣の奥さんだけど、”奥さん”ってことは、ちゃんと旦那さんもいるんでしょ? その不気味な贈り物がこれからも続くようなら、旦那さんに言いに行った方が良くないかしら?」

「……そうですよね。少し……いや、かなり言いづらいことではありますけど、最終的には旦那さんに言うのが一番ですよね。まだギリギリ我慢できるっちゃできる段階だとは思うんですけど」

「甘いわねえ、井地さん。自分では平気、まだまだ我慢できるって思っていても、こうして話している間にも、あなたを圧し潰さんとしているストレスは蓄積されていっているのよ。今度はあなたの方が狂気の扉の鍵を開けてしまうかもしれないわよ。あなた自身でも止められない狂気の扉をね」


 越光さんが康子の顔をチラリと見る。

「ねえ、気を悪くしないでね。私は井地さんは常識のある人だとは思っているけど、……隣の奥さんにそんなことをされるそもそもの心当たりはないの? 例えば、騒音とか……」

「いいえ、自分で言うのもなんですが、私は”そういったこと”には人一倍気を付けていると思います」

 即答する康子。

 一人暮らし歴もかれこれ十年以上になるも、そして、その一人暮らし歴はこれからも更新され続ける見込みであるも、今まで近隣の人々から騒音やその他のことで、文句を言われたことなど一度たりとしてない。

 喪女として生きていくことを思春期時代からうすうす予測していた康子は「目立たず、波風立てず、危険にも近づかず」をモットーとしていた。それなのに、ご近所さんに睨まれるトラブルの種を自ら撒くわけがない。

 良く言えば真面目で堅実、悪く言えば地味で面白みがない人生。だが、そんな人生の強みと言えるのは、腹を探られたとしても”やましいもの”は何も出てこないことだ。鋭い鎌でこの腹を切り裂かれたとしても零れ出てくるのは、人間誰しもが保有している臓物ぐらいだ。


「……そうよね、ごめんなさい。でもね、私、あなたの話を聞いた時、”ブッシュドノエル殺人”を思い出してしまったの」

「ブッシュドノエル殺人事件? え……外国でそんな事件があったんですか?」

「違うわ。日本で起こった事件よ。やっぱり、あなたも知らないのね。ブッシュドノエルって”ドイツ語”からは、外国の事件を想像してしまうかもしれないけど」


 喉まで出かかった言葉をグッと飲み込む康子。

 ”越光さん、ブッシュドノエルってドイツ語じゃなくて、確かフランス語だったと思いますよ。まあ、洋菓子とかってドイツとかフランスから渡って来たものが多いんで、ごっちゃになっちゃいますよね”という、越光さんの間違いを指摘する言葉とフォローする言葉を。

 越光さんが康子と同年代の同僚なら、軽くさらっと流すような感じで言えたかもしれないが、越光さんは康子より十歳年上だ。


 しかし、十歳の年の差はあるとはいえ、康子と越光さんには幾つもの共通点があった。だからこそ、この小さな会社の中でもとりわけ気の合う同僚として付き合い続けているのだろう。

 康子も独身一人暮らしなら、越光さんも独身一人暮らし。

 さらに名前も同じ康子。

 味覚や生活スタイルも似ていて、越光さんも康子と同じくあまり自炊はしないらしい。彼女も昔は自炊だけでなくお菓子作りにまで手を伸ばしていたが少々ブランクがあったらしく、今は積極的にキッチンに立つことは少ないと。現に、今日の越光さんの昼食は、割引シールの貼られた総菜とおにぎり、インスタント味噌汁であった。

 またまた更なる共通点について言及するなら、康子と越光さんが並んでいると、まるで同級生みたいに見えると上司に言われたことがあった。実年齢は十歳も違うはずが……

 それは、康子が越光さんと同じ四十代半ばに見えているということなのか、それとも越光さんが康子と同じ三十代半ばに見えているということなのか、はっきりさせるのが怖い康子は深く考えないことにした。


 そんな康子の心中には気づかず、越光さんはやけに鮮やかな黄色の卵焼きへと箸を伸ばしながら続ける。

「その”ブッシュドノエル殺人事件”だけど殺人事件の中じゃマイナーだし、世間の人たちはもう忘れちゃっているでしょうね。しかも、被害者はちょっとマヌケだったし」


 殺人事件に対してマイナーとか、命を奪われた被害者に対してマヌケという言葉の選択はいかがかと思ったが、康子はそれも顔に出さずに「どんな事件だったんですか?」と問う。


「かなり前……一九九〇年代の前半にT県で起こった事件よ。とあるアパートにね、母親の介護をしながら働いていた当時二十代半ばの独身女がいたの。その女の隣に住んでいた家族が、子だくさんのうえ、毎日毎日”うるさくてうるさくてうるさくて”……もともと人並み以下であった限られた休息の時間すらその家族に削り取られてしまった女は『お願いだから、静かにしてください。私も母も眠れないんです』なんて手紙をポストに投函したりしていたんだけど、まったく効果なし。ついに限界を迎えた女はクリスマス前に、『ご家族の皆さんでどうぞ。じっくり味わって食べてください』って匿名の手紙と”除草剤入りのブッシュドノエル”を、迷惑一家が住む部屋の前に置いておいたの」


 ゴク、と康子の喉が鳴り、何か苦いものが喉に染み込んでいく。

 

「迷惑一家は、部屋の前に置かれていた送り主不明のブッシュドノエルを冷蔵庫に入れたわ。その日の夜……つまりはクリスマスイブに一家で食べる予定だったんだと思うけど……夕方にたまたま遊びに来ていた小学生の子供の友達の一人がね、冷蔵庫を勝手にあけて、そのまま除草剤入りのブッシュドノエルを食べちゃって……救急車で病院に運ばれたけど一週間後に死んだの。で、警察も捜査を進め、手紙とケーキの箱に残っていた指紋が決め手となり、隣の女が逮捕されたのよ」


 そのブッシュドノエル殺人事件とやらに、どこから突っ込めばいいのだろう?

 康子自身が先日、読み始めていた短編小説集の冒頭収録作品のように粗すぎる。


 なぜ、送り主不明のいかにも怪しいケーキを食べようと家の冷蔵庫に入れておく? しかも、偶然遊びに来ていた子供の友達とやらも、なぜ人の家の冷蔵庫というシークレットスペースを勝手に開けたばかりか、なぜ勝手に食べる?

 そして、犯人の女も毒殺を企てたにもかかわらず、なぜ手紙やケーキの箱に指紋を残しておく? そもそも、その犯人の女だって介護と仕事で疲れ切っていただろうに、労力も時間もかかるケーキ作りによく挑戦できたものだな……と。


「……その犯人の女には、どれぐらいの懲役が科されたのですか?」

「懲役十三年……だったかしら? 被害者はたった一人だけだったし、犯人の女にだって情状酌量の余地がないわけでもなかったからね。求刑よりも減刑されたのよ」


 騒音が原因での殺人事件は、過去に何件も起こっている。

 そして、毒物による殺人事件だって、過去に何件も起こっている。

 さらに、一人を殺害して極刑――死刑――となったケースもあれば、ならなかったケースもある。この日本では、被害者が一人では死刑にならないケースが大半だろう。もちろん、犯行動機や殺害方法、犯行時の精神状態も考慮されての判決ではあるだろうけれども。


「……懲役十三年ということは、その犯人の女はもうとっくに社会復帰していますよね?」

 越光さんも「そうよ」と頷く。

 一九九〇年代の前半に二十代半ばであったなら、今は若く見積もっても四十代後半、もしくは五十才を超えているかもしれない。ちょうど、お隣の奥さんぐらいの年齢だ。

 まさか……と康子のただでさえ凝り固まっている分厚い背中がさらに冷たく固くなっていった。




 仕事を終えた今日の康子は、まっすぐ家には帰らなかった。かといって、コンビニに寄って新発売のスイーツをチェックするわけでもなかった。

 ほんの少しだけ肌寒い風が吹き抜ける駅前のベンチに腰掛けた康子は、自身のスマホへと指を滑らせていた。

 

 検索ワードは「ブッシュドノエル殺人事件」。

 その検索結果は、五十件未満。


 殺人事件は殺人事件でも、世間の注目を浴び、某大手掲示板でのスレッド数が事件から何年経過しても伸び続けていたり、関連書籍の出版や映画化までされてしまう事件もあれば、言葉は悪いも同時期に発生した事件や事故、災害に”食われてしまったり”、時代の流れに飲み込まれ世間から忘れ去られていく事件もある。そう、遺族や関係者の心に、生涯癒えぬ傷を残したまま……

 検索結果から推測するに、件のブッシュドノエル殺人事件は後者なのだろう。

 

 さらに、越光さんが教えてくれたこの事件の大筋はほぼ合致していたが、ところどころ間違っていた。

 まず、事件が起こったのは一九九〇年代の前半ではなく、世紀末の一九九九年だ。今から二十年前の年のクリスマスイブだ。次に、事件が起こったのはT県ではなく、その隣のK県だ。

 人の記憶というのは自身に関係のあることでも、誤った記憶を事実だと思い込んでいたり、妙に捻じ曲げられてしまったりもするのだ。自身に直接関係のないことなら、なおさらだろう。


 そして、康子がブッシュドノエル殺人事件を調べたことによる収穫はあった。

 インターネットという畑に生えていた情報――お隣の奥さんからのブッシュドノエル・アタックの原因と推測される”鍵”――を鎌で刈り取って、この手に掴むことができたと言えよう。


 当時の新聞記事の画像などは見つけられなかったが、おそらく図書館に行けば、過去の新聞記事を確認することも可能だ。

 しかし、事件から二十年近くの時間が経過すれば、顔も雰囲気も相当に変化しているはずだ。加齢によって贅肉がついたりするだけでなく、女の場合は髪型や化粧を変えるだけでもガラリと変わってしまうのだから……

 けれども、元受刑者となって社会復帰しているであろう女の実名を康子は知ることができた。

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