カンフー刑事
@tunetika
第1話
第一回
ダブル捜査一課
この物語は出世コースにのっている警視庁捜査一課とそこからはずれた裏捜査一課の物語である。
捜査一課
後藤田まき警視正
紺野田あさみ警部
裏捜査一課
石川田りか警部
小川田まこと警部補
新垣田りさ警部補
その一
「あんた、また来てるんですか。早くしてくださいよ。今日はお客さんがあまり来ていないからいいけど」
「うるさいわね。料金は払っているでしょう」
「料金のうちには、そんな撮影料は入っていませんよ」
「うるさいわね。資料を集めているのよ。東京の治安を守るために働いているの。ほら、あっちを見てちょうだいよ。子供がギロチンをいじっているわよ」
「あっ、危ない。やめなさい。やめなさいってば」
子供がギロチンをいじっている。その子供は大きくて重いギロチンの刃をつるしているひもをほどこうとしている。子供はひもの結び方を最近覚えたみたいだ。だからはずすことにも興味を持っている。警備員はあわてた。警備員はあわてて子供がいたずらをしているほうに走り寄った。もちろんギロチンの刃はつぶしてあるから首がすっぽりと落ちてしまうことはないが、大きくて重いギロチンはたしかに本物の鉄で出来ている。けがでもしたら大変だ。
「ストロボがうまく発光しないわ。くやしい。家でストロボの接点を磨いてくればよかったわ」
その様子を横目で見て子供のいたずらを止めさせた警備員はほくそえんだ。
「ほら、見てごらん。あいつ、ストロボがつかないので怒っているよ。カメラに八つ当たりしたいのを必死にこらえているのがおもしろいなぁ」
ふたりの警備員はその女が撮影がうまく出来ずにいらいらしているのを見てその女の感情を勝手に評した。その憶測はほぼ当たっている。スタイルの良い女だったが機械をいじることは得意ではないらしい。
「だいたい一般人だったら、写真撮影をすると言っても許可しないのがふつうだよ。全く桜田門の威光をかさにきやがって」
「なんでわざわざこの犯罪博物館の中で犯罪の再現シーンなんかを撮影しているんだよ。聞いた話によると捜査一課に属していると云うじゃないか。犯罪の現場を見たことがないのかなあ。だいたい普通の人間は家では仕事のことを忘れたいと思うのが普通のはずだぜ」
「よほど、捜査一課の仕事に満足しているのか。またはその逆なのか、どっちかだな」
女はストロボの調子が戻ったことに満足したのか、ストロボをばちばちと炊いている、ストロボからは光線が走った。そのたびに椅子に座った老人の頭に突き刺さった大きななたについた真っ赤な血がストロボ光を反射して毒毒しく光った。
もちろん老人は蝋人形であり、真っ赤な血はアクリル系の絵の具だった。
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