29 降下の巻き
「【
ドッカーーーン!
ヘリが近付く中、半荘は忍術を使い、ヘリポートから火柱が上がった。
パン! パラパラパラ……ドカーン!!
「わ! ヤバイ~~~!!」
火柱が上がった後、半荘は慌ててヘリポートから逃げ出し、窪みに飛び込んで岩を盾に使う。
何故、そうなったか……
半荘がヘリポートに置いた武器は、爆弾だけではなく、全ての銃火器だったからだ。
【火遁の術】とか言いながら、ヘリポートにドボドボ撒いたオイルを延ばし、ライターで火をつけ、その火が武器に引火しただけ。
その結果、爆弾やミサイルは破裂し、銃弾も着火して至るところに飛び散ったのだ。
まるで花火の事故現場のようになったヘリポートに驚いて、半荘は慌てて逃げ出したのであった。
逃げたのは半荘だけではない。
着陸態勢に入っていた軍用ヘリも、急上昇し、機首を振って爆発から逃れたのであった。
* * * * * * * * *
軍用ヘリの機内では、特殊部隊も焦りの顔を見せていた。
『な、何が起きたんだ!』
爆発音の後、軍用ヘリは大きく揺れ、特殊部隊の隊長はパイロットに確認する。
『ば、爆発です。大きな爆発が起きました』
『爆発だと……ヘリポートは使えるか?』
『確認してみない事にはなんとも……しかし、あの規模ですと、しばらくは使えないかと。最悪、崩れ落ちているかもしれません』
『なるほど……簡単な任務だと聞いていたが、一筋縄ではいかないと言うわけか……』
パイロットとの話を終えると、隊長は隊員に向き直る。
『プランBに変更だ。相手は素手と聞いていたが、何をしてくるかわからないぞ。十分気を付けて行動すること。殺害対象はわかっているな?』
隊長は最後の確認をするために、忍チューバーの写真を見せる。
『独島には、男と女の二名が居る。男は見つけしだい殺せ。女は人質に取られる事があれば、命の保証はしなくていいからな』
隊長は不穏な事を口走るが、前もって聞いていた隊員は、静かに頷く。
最悪の事態が起きた場合、全て半荘のせいにすれば、問題ないと命令を受けているからだ。
隊長は皆の覚悟の目を見回すと、大きな声をあげる。
『よし。降下の準備だ! 独島を、我らの手で取り戻すぞ~~~!!』
『『『『おお!!』』』』
こうして、特殊部隊はワイヤーを繋ぎ、ヘリが高度を下げると、次々に降下して行くのであった。
* * * * * * * * *
半荘は、爆発が落ち着くのを待って、岩陰から顔を出す。
「うっわ~。ちょっとやり過ぎたか? ヘリポートが崩れてしまった……」
自分のやらかした事に青ざめる半荘。
「ま、ヘリポートが無ければ、竹島では着陸できないか。結果オーライ!」
青ざめたのは一瞬で、気を取り直した半荘は、軍用ヘリを眺める。
「こっちに戻って来たな。次の目標も思った通りだ。ちゃっちゃとやりますか」
そうして半荘は、基地に向けて走り出すのであった。
* * * * * * * * *
軍用ヘリは基地の上空にてホバーリングし、パイロットは隊長に無線を繋ぐ。
『もう行けます!』
『了解!』
隊長は、ヘリポートが使えないのなら足場の悪い岩肌より、基地の屋根に飛び降りる事を選択し、準備が整ったと聞くと、隊員に命令を下す。
『よし! ゴーゴーゴー!!』
軍用ヘリの扉から飛び降りる隊員達。
と言っても、ワイヤーを頼りに降りるので、ある程度のスピードしか出ない。
パラシュートで降りるより、このほうが降下地点からズレず、確実な方法だ。
日々の特訓で何度も行った方法。
隊員も、実践でミスをするわけもない。
ミスがあるとすれば、強風が吹いて、軍用ヘリが墜落の危険がある場合。
それも想定しているので、パイロットと密に連絡を取り、すぐに対応できる。
だが、相手は忍チューバーだ。
予期せぬ事態に
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