第40話


エドワード様が………消息不明………?


その事実に愕然とする。

目の前がいきなり真っ暗になる。

まるで足下の地面が崩れていくように感じ、立っていられなくなり、その場に座りこんでしまった。


「レイチェルも意識がなくて危険な状態なのに、そのうえエドワードまで………。」


ユキ様も愕然としている。どうやら、ユキ様も想定していなかったようだ。


『エドワード様の子を宿した女性が出産に際して瀕死になることはある程度予測できた。だから、レイチェル様が婚約破棄されるようにし、ユキもエドワード様から遠ざけて、私がエドワード様のところに残ったのに………。運命は変えられなかった………。ならば、レイチェル様の婚約破棄は不要だったのだろうか。』


マコト様が後悔するように声を絞り出す。

マコト様は、私のためを思ってエドワード様と私が婚約破棄するように動いていたの?

エドワード様が、私と婚約破棄したのはこのため?


このことを知ったから私と婚約破棄をしたのだろうか………。


エドワード様………。あなたの本心が知りたい。


「マコト………。」


『………最善を考えなければ。』


思い詰めたようなマコト様の声。


『ユキ、また連絡する。レイチェル様の状況を定期的に知らせて欲しい。』


「わかったわ。レイチェルのことは私に任せておいて。」


そうして、マコト様とユキ様の念話は切れたようだ。

ユキ様は、泣きながら私の手を握っている。

ああ、そう言えば私の赤ちゃんは………どこ?

辺りを見回すが赤ちゃんの姿がない。


『………私の赤ちゃん。………どこ?………どこっ!!』


必死に家の中を探す。

私の部屋にもユキ様の部屋にもいない。


この家にいないと言うことはマリアンヌ様のところ………?

まさか、死んでしまったなんて言わないよね………?

違うわよね………?

だれか、違うと………違うと言って………。


ふらふらと、家の壁をすり抜け、マリアンヌ様の家に向かう。

マリアンヌ様なら赤ちゃんがどこにいったのか知っているのではと思ったのだ。




マリアンヌ様の家のドアを叩くが、手がすり抜けてしまい、ドアを叩くこともままならない。


『マリアンヌ様っ!!マリアンヌ様っ!!』


声を張り上げてみるが、こんな姿だからか聞こえないようで誰も出てこない。

私の身体は物体をすり抜けることが出来るからこのドアだってすり抜けることができる。

でも………さすがに、このまま人様の家に無断で入るわけにはいかず、マリアンヌ様の家の前で力なく座りこんでしまった。


『………マリアンヌさま………。私の赤ちゃん………。エドワードさまと………私の………。』

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