第35話
エドワード様にいったい何があったというのだろうか。
私に教えられないことで、エドワード様に関することはなんなのだろうか。
ここは、隣国の田舎の村だから、祖国のハズラットーン大帝国の噂は何一つ聞こえてこない。ゆえにエドワード様になにが起こっているのかもわからない。
エドワード様に冷たい態度をとられ、婚約破棄されたけれども、やっぱりまだ私はエドワード様が好きで好きで仕方がない。
エドワード様を好きになったことは、私の意志。決して敷かれたレールの上のことではない。
「ユキ様、どんな話でも私は受け入れます。ですから、どうか教えてください。」
トントンと、優しくドアを叩きながら声をかけてみる。
すると、中からユキ様のすすり泣くような声が漏れてきた。
「ごめんなさい。レイチェル。私………マコトが………エドワードに………うぅ。………どうして………どうして、こんなことに………。」
その後は嗚咽で何を言っているのか聞き取ることができなかった。
ただ、エドワード様にマコト様が何らかの関与をしていることしかわからかかった。
まさか、マコト様とエドワード様が結婚される………?
想像だけが膨らんでいく。
でも、夢の通りならマコト様とエドワード様は結婚できなかったはず。
なんでなのかはわからないけれど。
ユキ様とエドワード様なら、結婚できたはずだけれども、ユキ様はここにいるし。
もしかして、マコト様がユキ様とエドワード様の結婚を進めているとか?
いやいやいや。結婚とは限らないわ。
もしかしたら、エドワード様がご病気になられたとか?
でも、そうしたらどうマコト様が絡んでくるのが理解できないわ。
まさか、ありえないけど、マコト様がエドワード様に毒を盛った………とか?
でもでも、マコト様は善良な方だもの。マコト様がエドワード様にそのようなことをされるはずがないわ。
考えれば考えるほど、悪い方に思考がいってしまう。
「うっ………。」
悪いことを考えていたからだろうか、お腹が急に痛くなったような気がした。
しかし、すぐに痛みは消える。
これは、お腹の子が悪い方向に考えるなと言っているということだろうか。
大きくなったお腹を優しくさすりながら「大丈夫だよ。」と声をかける。
そんな私のそばにクロ様とシロ様がやってきて、すりよってくる。
クロ様とシロ様も心配しているようだ。
ユキ様の部屋のドアの前で二匹で「にゃー。」と鳴いた。
すると、シロ様とクロ様の姿が眩い光に包まれ消えた。
「………シロ様?クロ様?」
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