第25話


私がマコト様の希望・・・?

それは、いったいどういうことなんだろうか。

私なんかが誰かの希望になんてなれるはずがないのに。


「あの・・・マコト様。それは、いったいどういうことでしょうか・・・。」


「マコトはいるか?」


マコト様の言葉にどんな意味が含まれているのだろうかと、尋ねてみようと声をかけたところで乱入者が現れ、私の質問は宙に浮いてしまった。


「はい。ここにおります。」


マコト様は乱入者であるエドワード様を見ると、サッと素早くソファーから立ち上がり礼の形をとる。

私も同じように立ち上がり礼をとる。


「マコト、話中のところ、すまないが至急来てくれないだろうか。」


エドワード様はチラリと私の方を一瞬だけ見るとすぐに視線をそらしてしまった。そして、マコト様に向かって真剣な口調で告げる。

その目にはマコト様だけが映っている。私の姿はその瞳には映ってはいない。


「わかりました。あの件で動きがあったのでしょうか?」


「ああ。詳しい話は執務室に向かいながらでも・・・。あの件だが・・・。レイチェルを・・・。」


マコト様はエドワード様に並び立つと、なにやら話をしながら部屋を足早にでていってしまった。

退出するさいに私の方を見て、軽くお辞儀をしていた。エドワード様と会話をしているため、私に退出のあいさつをできなかったから、会釈ですませたようだ。

それにしても、エドワード様の口から私の名前がでていたようなのに、どうして私はエドワード様に呼ばれないのだろうか。

どうして、私は蚊帳の外なのだろうか。

私を置いていってしまった二人に不安を覚える。

やっぱり私はここから出た方がいいのだろうか。

私と違ってマコト様はエドワード様と対等に話ができるようだし。

私と違ってマコト様はエドワード様に必要とされているようだ。

エドワード様は私を執務室に呼んだことはない。エドワード様の執務に私がかかわったことなど一度もないのだ。

今まではなんとも思っていなかったけれども、異世界から来たマコト様は執務室に呼んでなにやら大事そうな話をしているのに、私には・・・。

やはり、エドワード様はマコト様の方を必要としており、私は邪魔なのだろうか。

そんな思いが私を支配する。

もっと、私に力があれば・・・。

エドワード様のために出来ることがあれば、私はエドワード様に嫌われずにすんだのだろうか。

私はいつまでも、エドワード様たちが出ていってしまわれたドアを未練がましくジッと見つめていた。


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