エスカレーター

 エスカレーターの手前で呼び止められた。

「あの、お一人ですか? 一緒に乗ってもいいですか?」

「は?」

 怪訝な顔を向けると、相手は足元を指差した。床に貼られたシートには注意書きがあった。

『安全のため、歩かずに2列でお乗りください』

 もう一度、首を傾げて見せると、

「1列で乗ると危険なんですよね? 一人でずっと困ってたんです」

 というわけで、今日は知らない人と並んでエスカレーターに乗った。




----

2020.02.15 18:33

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る