雷鳴に耳をすます

 夏の夕暮れ

 遠雷の音に

 耳を

 すます


 独り

 風呂上がり

 窓を見ると

 入道雲が見えた


 ピカピカと発光してる

 積乱雲の群れ

 もくもくと育つ


 帰郷した

 実家の縁側に

 腰を下ろし

 団扇うちわあお


 風鈴の音色

 チリ、チリ……ンと

 雷の音

 ゴロ、ゴロ……ロと


 畑仕事から

 帰って来た

 父が焚いた蚊取り線香

 ふんわり香る


 私のそばに

 呑気なネコの顔

 子犬はそわそわと

 廊下を行ったり来たり


 雨はまだ向こう

 雷雲も山向こう


 ただ雷鳴は

 しっかりと

 太鼓のように響いて

 ただ雷光は

 しっかりと

 灯台の光のように届いて


 カメラのストロボを

 浴びたように

 山々のそびえ立つ姿が

 藍色の空に

 浮き上がる


 まだ夜の帳のおりきらない

 夏の夜空は

 不思議に雨と晴れが

 混在し始めた


 そこに

 ほうき星――


 悠久のロマン

 しばし言葉を

 忘れ見つめる


 あれは

 宇宙の旅人――


 雷鳴の音は

 まだ遠い遠い





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