海の夢

 一人海に大きな浮き輪で浮かぶ

 流されてしまった

 張られた境界線とブイが背に当たる

 周りには誰もいない


 どうしよう、どうしよう

 焦りと後悔 パニック

 泣きたい

 でも泣いたところで

 誰も助けには来ない


 ここには私しかいないのだから


 海水を掻き分け掻き分け

 浜まで

 進む

 押しては寄せる波

 高い波 低い波

 この波を味方につけ

 もどかしいほど少しずつ

 ゆっくりと



 悩んで進む生きる道

 苦しくも続くその道

 諦めたら

 私に何が残る

 何がある


 諦めるな


 諦めたら負けだ

 自分の弱さに負けるな

 夢を希望を信じたら

 光るものが手に入る



 浜を目指し必死で水を掻いて掻いて

 私はやっと辿り着いた

 砂浜に着いた足の感触は

 夢とは思えぬほどの

 しっかりとした感覚

 流した涙は生々しく温かい


 助かった

 生きている


 目を覚ました私の頬にも

 涙のしずく

 生きたいと願う

 叶えたいと願う





 


 

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