第七の絶滅
碧美安紗奈
回顧録1
さて、これからおれの回顧録とそれなりに伝わりやすくまとめたつもりの様々な資料を使って、あのときのことを記すわけだが。
どこから始めようか。あの日? 待て、前日の夜だな。自分の家、二階の自室で囚人服みたいなパジャマに着替えてベッドに寝ようとした段階でおれは気付いたんだ。
そういや授業でノートをひとつ使い切っちまってたってことに。
次の日の登校途中に買ってもよかったけど遅刻常習犯だし、他の教科のを使おうとも考えたがどうもすっきりしない。そこで、使い忘れのノートでもないかと探してみることにしたんだ。
いつも向き合ってる机や棚にはなかった。漫画読んだりして夜更かしもしすぎてたから、普段あんまりいじらない押入れ辺りをちょっと覗いて、それでなかったら諦めようとしたよ。
そこを開けた途端だ。――ノートが、どこかから落ちてきた。
ただし新品じゃなく古い。国語は得意なはずが、つたない文字でおれの名前が書かれた黄ばんだ日記帳だ。
十年ほど前の、小学校一年の頃のものだった。
開いた形で落ちた不吉な日付が刻まれたページを、思わず読んでたね。
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