第5話断章ーー二章事始め
それは、「美しい」時計だったーー「はい、これあげる」
誕生日のプレゼントである、ずいぶん変わったなと自分でも思う
「はい、あーーん」
10歳にもなって、はい、アーーんはきつすぎるので、丁重にお断りする
だって、昔は、、、昔の私は人を信じられなかった
ちゃぶ台の上に乗ったお雛様の人形―きょうは、お雛様「ではないが、用意してくれた
「、、、こういうの好きだろ?」
「うん、大好き」
そうして私の頭をなでる――温かい、かってはこういうのなかった
「生まれてきてくれてありがとう」
温かいーーそう思うーーこの変な人は暖かい、いつも、いつも温かくて、優しい
ーー好きだということを、臆面もなく照れもなく表せるからだと思う
「、、、さぁ、二人からもお誕生日プレゼントがあります」
弟と妹が、もじもじとプレゼントを出すーー
「、、これ、あげる」「こーら、二人とも上げます、でしょ」
「「さあもう一度、、、」
「恥ずかしい、、じゃまただね、でも、お姉ちゃん二人が頑張って作ったんだんだよ」
ぼそりと、耳に小声で「お姉ちゃんって言ったのが気に入らなかったんだろ、ごめんね」
とつぶやく
―お姉ちゃん、どうしてそういわれて、いやがったんだろ
ーーその答えは過去にある「だが今は気づかぬ昔語り
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