第216頁 料理大会の真実
「ごめんごめん、遅れちゃった!大会の参加届けとか大丈夫?」
あれから急いで六花&ルリと合流し、大会の手続きやらなんたらをしていないと焦る私。
「あっ、それなら既に済ませておきましたよ!ボクとルリさんと静紅さんとフレデリカさんの4人でエントリーしてます」
ああ、日本に住んでいた時、六花はバリバリに仕事出来てたっけ。
書類系は六花の専売特許って言っても過言じゃないし、エントリーを済ませてくれていて良かった。
「ほんとに!?さすが六花〜ありがとう!」
「いえいえ!それよりも、さっき静紅さんの好きそうな容姿の人がいましたよ!」
「私の好きそうな?」
「猫獣人です」
マカリナだな。彼女も料理大会に出るって言ってたし、優勝するなら料理対決は免れないか。
「シズ、そろそろ始まるぞー!」
「毎年料理大会は大荒れになりますからね、早く行きましょう!」
ルリとフレデリカの2人も目を輝かせている。
この辺りが故郷ってことは、料理大会の概要も分かっているのだろうか。
もちろん私と六花はどんな感じなのか知らない。
もう少し情報収集しておくんだったー!と、もう後悔しても仕方ない。
流れに身を任せよう!
『料理大会の出場者は舞台へ上がってくださーい!』
舞台上から、魔道具で拡声されたアナウンスが聞こえてくる。
北海道の雪像祭りのような感じで作られた舞台は、まさに雪白のキッチン。
恐らく火にも強い雪とか使ってるのだろう。知らんけど。
「お師匠様、武器は何を使うんですか?」
「……は?」
今こいつ武器って言わなかったか?
地味に嫌な予感が────
『はいはーい、早く来てください!』
やたらと焦らせるなあの司会者。何か急ぐ理由でもあるのか?
私たちを含め、たくさんの出場者が舞台へ上がっていく。
「我も初めての出場になるが、噂通り穏やかじゃない……リカ、始まったら参加者全員の思考を読むんだぞ?」
「なるほど……その作戦は思い浮かびませんでした!お師匠様、リッカさん、恐らく2人も初めてだと思います。大会開始直後は散らばって辺りを散策しましょう」
「え、え、ちょっと待って!辺りを散策?作戦?一体どういうこと?」
分かった、これ絶対ただの料理大会じゃない!
くそ、どれもこれも異世界スケールかよ!
こうなったらなるようになれだ!
『はーい、静かにしてください!あと3分で説明を済ませますよ〜。
ただ今から料理大会を開催致します!』
それから3分間、ルール説明やら注意事項を受けた。
ルールはこうだ。
・転送先で3日生き残り、食材を集める。
・3日後、帰還してから集めた食材で調理。
・調理した料理を審査員に採点してもらう。
・転送先は山、海、森の大自然。そこの食物連鎖の頂点は魔物であり、人間ではない。
・転送先は戦力が物を言う。略奪、奇襲、占領、なんでもあり。
・能力の使用は無制限。
・武器の持ち込みは一人一つまで。なお、聖具、魔道具の持ち込みは禁じる。
・魔物を倒して稼ぐポイントと審査員からの料理点数で優勝者を決める。
・1チーム4人まで、同盟や裏切り行為も可。
・転送先で死亡したら、会場に強制帰還。
作戦聞いた時点で分かる、絶対ヤバいやつだ!
大丈夫かよ……。略奪とか裏切りとか嫌だよ私!
そうか、だから景品が聖具でも大丈夫なんだな。普通の主婦が魔物を狩れる訳が無い。
異世界ってことで、どうせ果物とかも魔物なんだろうし、私たちでも3日生き残れるかどうか……。
敵は魔物だけじゃない、他の参加者からの略奪や奇襲にも警戒しないといけない。
「こーれが料理大会かぁ……」
私は自分でも恥ずかしいくらい口を開けて呟いた。
・・・・・
「魔道具と聖具を預かります」
「あっ、はい魔道具の魔法人形ね」
スタッフであろう人が皆の道具を没収し回るなか、私たちは全速力で作戦を練っていた。
普通のチームなら前日などに長時間かけて決めてくるのだろうが、なにぶんフレデリカとルリしかこうなると知らなかったのだ。作戦を立てる必要もなかったと思ってたのだから。
「大丈夫です、お師匠様の能力があれば森の中は格段に有利です!それに、リッカさんの環境観察能力があれば魔物の強さも分かりますからね」
「転送後は空の上だ。毎年黄昏時だから、今年も一夜をどう立ち回るかで勝敗が決まる……どうするのだ?」
「それなら、視界の開けた海岸へ降りた方がいいと思います。静紅さんの能力は生かせませんが、ボクの能力やルリさんの魔法は最大限に活かせそうです」
六花もなんだかんだで乗り気になっている。
それはそれでいいのだが、相手は悪い顔の男集団とか、ジャイ〇ンの母みたいな主婦集団、それにマカリナ率いる猫獣人集団だ。
「ルリ、龍化は危ない時にしか使わないでね。向こうで死んでも、命は落とさないけど痛みはあるはずだから。それに、あなたが龍ってことは絶対の秘密なんだからね」
「それでは、転送後は海岸を目指して滑空してください。くれぐれも落下の際は死なないように注意してくださいね」
『さあさあ!転送準備完了しました!それでは皆さん、3日後、また会いましょう!行ってらっしゃい!』
私を含めた100人ちょいの集団の足元に、大きな魔法陣が出現する。
眩く光るそれに吸い込まれ、気がつくと、そこは。
────そこは空の上だった。
「うおあああああああああッッッッ!?!?落ちるううううううううううう!!!」
規格外料理大会、開幕ぅぅぁぁッ!?
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