第22話 食べ放題は危険です

 双子の兄のタベルスは霧の中沢山の食べ物を食べつくした。

 おそらくアイテムボックスには無数の食べ物があるのだろう、

 なにより妹であるリナリーナの霧使いとの愛称は抜群らしく、


 そこにはデブはデブでもめちゃくちゃすごいデブがいて、


 そいつは滅びのドラゴンの前足の殴りかかりに対して、右腕だけで押さえてしまっていたのだ。


「ふ、蜥蜴がとっと蜥蜴焼きになれいい」


 その威圧ぶり、まさにザ・デブになっている。

 右腕を振り払うと、まるで巨大なボールかのように滅びのドラゴンは吹き飛ばされ、

 壁に激突。


 だが滅びのドラゴンは壁にぶつかると、

 黒い全身の鱗を怪しく光らせて、タベルスに突っ込んでくる。


 タベルスは右手と左手で猪を抑え込むようにしちえる。


 そのデブの体はどうやらほぼ筋肉になっているらしく、

 

 チキンポッパーも拍手喝采、


 そんな時、復活ポイントから戻ってきた奴隷たちは、



「よーし、つっこめえええええ」


 チキンポッパーの無情な命令に逆らうことができずに、


 奴隷たちは突っ込んでいく。


 タベルスは左手を頭から話すと、

 思いっきり左足蹴り上げる。


 そのまま真上に吹き飛ぶ滅びのドラゴン。

 そして地面に落下してくると、

 そこには奴隷たちが、


 奴隷たちは踏みつぶされると同時に、大爆発を引き起こす。


 それもドラゴンの弱点とされるお腹で、


 初めて滅びのドラゴンは怒声を上げる。

 それはとてつもなく痛いという合図かのようだった。


 それから1時間が経過していた。


 ロンパたちはただ呆然と彼らのバトルを見ているしかなかった。

 ここでロンパたちが加わることにより、

 おかしくなるだろうし、自爆奴隷たちに巻き込まれるのも大変なことになるだろうから、近づけない、なんとなくチキンポッパーの企てが見えてきた。


 だがそれも最初の1時間のうちだった。


 ロンパの鑑定だと、滅びのドラゴンのヒットポイントが分かるのだ。

 その結果10分の1程度しか減っていない。


 彼らは知らない、


 これをあと10時間やる必要があるのだと。


「ぎゃははっはは、これでアモスを殺せば、大金がはいってくるぜええええ」



 チキンポッパーの悲しい叫び声、

 なぜならこれがまだ3階層であること、7と8と9階層には化け物をそろえておいたことを、彼らは知らない、そしてメイルンたちも知らない。


 知っているのはここの管理者であるロンパだけ。


「兄者、全然弱ってないみたいよ」

「分かってる、ぜいぜい、もう食い物つきそうだ。おい誰かもってねーか、そこのへっぴり腰の5人パーティーさんよおお、ご飯ねーか?」


 メイルンたちは怒りの形相にはならなかたっけど。


「なんだか腹がたちます」


「落ち着け、そろそろ蹴りがつく」


「そこの賢そうな男性よ、それはこちらが勝利でということか?」


「いや、ドラゴンの勝利だ」


「はぁ? いみわかんなーい、これどうみたってあたしたちの勝利でしょ」


「あまり見た目に惑わされないほうがいいぞ」


 そうあのドラゴンの大きさはもともと人間と同じくらいの大きさであり、

 今ではとんでもないでかさになっている。

 それをぼこぼこにしているけど、結局は鎧に攻撃しているようなもの。


 そしてそれは起きるのだ。


「うぉりゃあああああ」


 タベルスの大きな拳が、

 滅びのドラゴンの顔面を捕らえ、ぐしゃりと音を鳴らす。

 その嫌な音に、その場にいたタベルスたちは勝利を確信していたのであろう、

 がっつりと勝利のポーズをとった。


 そしてそれは巻き起こる。

 まるでスローのように。


 壁にぶつかり、そこらへんの瓦礫を巻き込み。

 滅びのドラゴンは埃の煙の中姿が見えなくなる。


 そしてこつこつと、

 まるで蹄で地面を歩いているかのように、

 ゆっくりと、ゆっくりと、前に歩いている音。


 タベルスとリナリーナとチキンポッパーは泣き叫ぶかのように、

 喜んでいる。


 だがそこに到達したドラゴンを見て、

 その場の3人と奴隷たちは蒼白となる。


 そこには巨大デブとなったタベルスよりも一回りほど小さくなっているドラゴンがいた。


 とてもとても長い間眠りについていたかのように、ふぁっと欠伸をすると、

 口から蜥蜴のようなちょろちょろと舌が出てきている。


 右手にはかぎづめ、左手にはかぎづめ、それもとてつもなく長く。

 まるで剣が5本も生えているかのようだった。


 10本の爪、つまり剣のようなものを振りかぶり、

 振り落とした。


 ただそれだけで、沢山のものを瓦礫とし、

 沢山のものを排除し、

 ドースンが巨大な盾をウェポンコレクト状態から解除して、出現させると。

 そこにとてつもない衝撃が加わり、

 メイルンとネネーネが必至で盾を押さえ。フィーズはいつの間にか近くの瓦礫に隠れている。さすがは逃げ足が速いし、次の一手の決め手になるように動いてくれたようだ。


 もしかしたらただ逃げただけかもしれないが。


 タベルスとリナリーナは抗いようのない斬撃により、全身を切り裂かれて、吹き飛び、復活ポイントに移動した。

 

 チキンポッパーも奴隷を盾にしたけど、

 奴隷もろとも引き裂かれたのであった。


 恐る恐るロンパは滅びのドラゴンを鑑定して見せることにした。

 するととんでもない内容が出てくる。

 さきほどの滅びのドラゴンから小型ドラゴンへと元に戻ったとばかり思っていた。


 それは違っており、次なる進化だ。


 なんと目の前のあいつはドラゴンキングになっていたのだから。


「ふふ、これは楽しめそうだ」


 いつしか死ぬことが楽しみだったはずなのに、

 いつごろか戦うことが楽しくなっていたロンパだった。


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