第18話 アモス帰還
ロンパはアモスとなりて、
アモスの大迷宮の最上階にテレポートしていた。
弟子たちとは明日に始まりの街で再開することを誓って。
アモスは自らの肉体を見ることとなる。
そこにはアモスの魂の抜け殻の体をいとおしそうに抱きしめて、
ぐーすか寝ている鬼族メイド長が間抜けな面をしていた。
アモスはふふっと苦笑を漏らすと、
近づき、
数日ぶりの自らの肉体に入ることにした。
まるで肉体に吸い込まれるように、
ドッペルゲンガーから魂が抜け出て、
その魂を肉体が取り入れる。
ドッペルゲンガーはこちらをじっと見ているし、
メイド長のリンティンは寝ぼけ眼でこちらをじっと見ていた。
「おかえりなさいませ」
何も説明しないで勝手なことをしたことや、
まぁ抽象的には伝えてあったのだが。
それでもリンティンは文句1つ言わず、
ロンパの体を大事にしてくれた。
「ああ、帰った。明日にまた抜け殻になるから、いろいろと準備しようと思ってな」
「そうですか、7階層と8階層と9階層のダンジョンモンスターを呼び込むのですね」
「その通りだよ、今回の勇者はたぶんわしを殺せるところまで行くと思う、だから、こちらも誠心誠意に勇者をぶちのめすことにした」
「ふふっ、やはりアモス様らしいです。アモス様は死にたいのでしょう?」
「ああ、ものすごく死にたいさ、速く死んで、あの頃の仲間たちと再会をしたい」
「でも、アモス様は無駄死にがお好きではないのです」
「その通り、せっかく生きたのだから、1人くらいは最強にしてやらねばな」
「ふふっ、だからアモス様は先生に向いている」
「そうかい? わしは先生よりかはスパルタ兵長のほうが向いていると思うがな」
「そうですか、ところでアモス様が亡くなられたときはこのわたしはどうすればいいのでしょうか?」
「故郷に帰るのがいいのではないだろうか? 今の時代の鬼族がどうなったかは知らないが」
「そうですか、きっとわたしはアモス様が死んでもこのダンジョンを守りとおすと思います」
「そうか、そうしてくれ、では明日までには帰る」
「はい……」
「そう心配するな、わしはもう死んでいてもおかしくない年齢なのじゃからなぁ」
それに対してリンティンは何も返事をしなかった。
まるで最後の時間まで一生懸命に生きろと示唆しているような感じだった。
色々と考えたが、アモスはテレポートを使うことにした。
アモスのテレポートは屋内でも使える。
普通のテレポートだと屋内から出たり入ったりすることはできない。
それだけアモスの魔法技術は信じられない領域にまで到達していたのだ。
―――破滅の城―――
テレポートした先は魔界、
人間界と魔界は見えないバリアによって封鎖されていた。
しかし勇者と魔王の血盟により、そのバリアは取り払われた。
それでも薄暗くてとても湿気のありそうな雰囲気を醸し出している空間が、
魔界だとわかるほど魔界っぽさが分かりやすかった。
現在の魔王は当時の魔王、つまり勇者の奥さんだが彼女は勇者と一緒に暮らしているはずだし、勇者は亡くなっているから、魔王は1人でその地域を守っていると思われる。
魔王に生まれたからには数万年は生きねばならない。
そして現在の魔王は、魔王の弟であり1200歳くらいであり、アモスよりかは年下だ。そして、この魔王には名前が存在しない。
アモスは目の前の破滅の城を見ていた。
ここは、冒険者たちが最後の最後で到達するといわれている伝説の大迷宮だ。
魔王(弟)は一度も倒されたことがない、
倒されたとしても復活ポイントでよみがえる。
もはや殺し合いの世の中ではなくなっている。
アモスは100階層にまで及ぶとされる魔王(弟)の城を冒険するのもいいだろう。
そして、アモスは【破滅の城】と呼ばれる大迷宮に殴り込みに入ったのだ。
1階層数千万のスライムがいたが、一撃で死亡。
1階層から10階層まで走り飛ばして、なんかよくわからない敵粉砕。
10階層から20階層まで、ありとあらゆる伝説のなにかが出てきたが、瞬殺。
20階層から40階層まで、とりあえず、全身を強化したら、無敵状態で、ただ歩くだけでモンスターを粉砕。
40階層から60階層まで、ボス級がでたが、人差し指で消し飛んだ。
60階層から80階層まで、とりあえず、叫び声をあげたら敵が逃げていった。
80階層から99階層まで、爺さんみたいな集団がいたが、片っ端から吹きとばし、ちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す。動かなくなったら、体をこちょばしたら、げらげら笑ったので、とりあえず、破滅の城から叩き落しておく。
そしてようやく100階層に到達。
ここまでかかった時間は30分。
巨大な扉を開くと。
そこに1人の青年が立っていた。
その青年はアモスを見ると、げらげら笑って、腹を押さえていた。
「誰かと思ったら、オジキ殿ではござらぬか」
「いやはや、魔王(弟)よ、もうちょっと配下を鍛えたらどうだ」
「いえ、オジキが強すぎるのです。ここまで到達したのオジキが初めてです」
「そうか? 数千年ぶりだな、わしは勇者の葬式には出られなかった」
「いいんですよ、姉さんも一人で初代勇者の墓を守っている。俺様がこの城を守る必要がありますからね、今では平和になったことだし、人類もいろいろな種族たちも冒険とやらに精を出しておりますから」
「そうか」
魔王の額には3つ目の目が閉ざされており、
右腕と左腕を合わせただけで4本はあるだろう、
そのすべてに剣を持たせることで、4剣流を可能にしている。
「一発やりますか? オジキ殿がよろしければ」
「うむ、そうしよう、この体がどこまで挑戦できるか興味深いしな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます