第14話 四天王スケルトン
ロンパは椅子を召喚すると、暗闇の中、夜目スキルによって見渡している。
この夜目はダークマターの中でも見ることが出来る。
4人のパーティーメンバーたちはそれぞれの戦いに入ろうとしている。
スケルトン無双を終えた4人はそれぞれが、炎と地面の道筋を頼りに看板のところまで戻ると、あとは決まった相手のところに向かうというもの。
彼らの作戦では炎を合図にするようだが、
倒した後に炎をともすのか、
倒す直前で炎をともすのか、
とても気になるポイントでもあった。
実はタイムラグは存在する。
1体を倒したあとに4分後に次を倒さないとまた復活するようになっている。
そしてそのタイムラグが4分であるということを彼らは知らない。
ヒントは敵が4体ということ、
これには誰も気づかれないだろう。
しかしメイルン辺りはなんとなく察しているだろう、
数分のタイムラグが許容されているということに、
なぜなら4体をほぼ同時に倒すことなど不可能なのだから。
スキル魂化を使用する。
自分の体がすべて魂となり替わる。
次にロンパはまるで幽霊のごとく空をふわりと飛ぶ。
肉体そのものまで魂となっているので、
この魂が死ねば、ドッペルゲンガーも死ぬことになり、
最上界にいる自分の体に戻るということになる。
スキル魂分離を使用する。
分離した魂の数は4体。
4体の魂はほぼ同時に4人の場所に向かっている。
やはり観戦はリアルタイムでなくてはらないだろう。
それに1つの戦いが終わったら、次の戦いを見ることが出来ないのだ。
それは途方もなく損害だろう?
1つ目の魂は、フィーズの元に到着する。
フィーズはアンデットウォーリアーの元に向かっているようだ。
アンデットウォーリアーはゾンビみたいな騎士だ。
最初スケルトンのようなものだと思う人もいるだろうが、
アンデットになることにより、骨に肉がついた状態になる。
そいつは目の前にやってきたフィーズに罵声のような怒声を浴びせた。
それに対してフィーズは怯えながら独り言を呟く
「うっへえええ、やっべーじゃん、なんかめちゃくちゃやばそうじゃん」
「それにしてもアンデットウォーリアーかふむ、どうやって倒そうかね、俺様はすごい剣士というわけでもない、すごい魔法使いというわけでもない、すごい武術、または戦士でもない。ただの平凡の逃げ足がはえーだけの卑怯な青年さ、でもな、みんなよりはガッツだけはあるんだぜ」
なるほど冒険者ギルドで囲まれたとき、この小僧は1人だけで沢山のベテラン冒険者と殴り合いになったのだろう、喧嘩はとても弱いのだろう、
だけどきっと彼は何度も立ち上がったのだろう。
「そうさ、俺様は何度だって立ち上がる。このアイテムボックスがあれば、武器を何度だって出せるんだぜ、よっしゃ、いっちょ行くぜえええ」
フィーズはドラゴンレザーの防具を光らせながら。
まるで勇者のように、剣を構える。
その剣の構えは、素人そのものであった。
誰が見ても、あんなものに斬られたら、相当なバカだろう。
ガキン! バキン!
なんかとてつもなく嫌な音をして、鉄製のロングソードが半分に折れる。
アンデットウォーリアーは巨大なハルバードを背中から抜き出し、そのハルバードで両断している。
もちろん逃げ足だけが自慢のフィーズはそれを避けている。
そのままの状態で、アンデットウォーリアーは怪力のように武器を振り回し。
そのすべてをフィーズは避けているのだ。
「よ、ととっと、あぶな、うぉ、この、あちょ、うへ、うほ、これロング―ド、ってか折れた。ロングソード、てか折れた」
フィーズは軽業師のように体をくねらせ、そしてジャンプして、まるで子供のころに見たサーカス団のピエロのようだった。
しかも彼は攻撃を避けているさなかでもアイテムボックスから鉄製のロングソードを引き抜く、何度もそれで敵の頭をぶち叩こうとして、アンデットウォーリアーに破壊される。
それでも次から次へと鉄製のロングソードを引き抜く。
「ったくこの前バーゲンセールでロングソード買い込んだかいがあったぜ」
いやフィーズよ、もっとうまく武器を使おう、武器が泣いておるぞ。
「ふひーこいつつえーな、どうしよ、うむ、アレ使うか」
フィーズはアイテムボックスからって、
こいつはアイテムボックス戦士か何かなのか、
ロンパは思わず頭を抱えてしまった。
大きな塊、
臭いで火薬だとわかる。
こいつこのダンジョンで爆弾を使う気だ。
「ちょっと高かったんだよな、ドワーフが改良に改良を重ねた爆弾改だそうだけどさ。まぁ投げて当たればいいらしいし」
ロンパは冷や汗をかきつつも、
少し離れておくと、
フィーズは問答無用とばかり、爆弾を思いっきり投げた。
回転しながら爆弾は飛んでいく。
アンデットウォーリアーは普通に武器で弾いた。
その爆弾がフィーズの元に向かい。
「あわあわわあわ」
フィーズは真っ青になりながら、その爆弾を弾く。
それがアンデットウォーリアーにいき、また弾き、
また弾き、また弾き、また弾き。
なにか、ボール遊びでもしてんのか。
そしてアンデットウォーリアーとフィーズの真ん中くらいで大爆発を引き起こした。
もちろんアンデットウォーリアーはばらばらに吹き飛ぶことになり、
肉片は炎で燃え盛る。
全身が丸焦げになっているフィーズはふうと人息ついていた。
「だいたいあと4分ってことか、これが合図になるはずだ。そのようにみんなには伝えてあるしな、まったく、俺様がこの原理に気づかなかったらどうしてたんだか、謎解きはこのフィーズにってね、四天王のアンデットということは、4分だろう、違ったらまた倒すまでさ」
ロンパは驚愕していた。
なぜならあの4人の中で一番気づきそうにないやつが、この真理に気づいていた。
いい加減なやつだから、いい加減な仕組みに気づけたのかもしれない。
ロンパは冷や汗をかきながら、お前はすげーよと心の中で囁いていた。
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