第4話 花魁出陣

令和2年1月26日 日曜日 午後15時



雷門をくぐり、これから通るであろう前方を見渡すと人が溢れ返っていた。


仲見世通りには、左右に迂回路というか別の路地がある。


わざわざ大勢が集まる大通りを通らずに、

迂回路を通れば安全に突破できるのだが、

なにせ迂回路は狭い。


今回はツナマヨさんを中央に据え、

その周りをガードしながら動かなければならない。


その為には、ある程度の塊になる必要がある。

迂回路では道幅一杯になりそうなので、

中央突破が最善との決断が下された。

ちなみに、下したのはchaosさんだったと記憶しています。


とにかく、人の多い仲見世通りを、ご迷惑にならずに最短で渡り切りたい。


時間が無い、という訳で我々の簡易花魁道中がスタートした。

「いざ!」と言うべきか、「Let's go」と言うべきか。





最初の頃はツナマヨさんを囲みながら、

ぞろぞろと個々に動いていた集団だったが、

女衆から一言。


「男衆は前に出ろ」との下知が下ると。


「御意!」とばかりに屈強の男達が先陣を切り・・・といったイメージで、

男性陣が前方に立ち、観光されている方にお声掛けしながら歩を進めました。


ちなみに「男衆は前に出ろ」はリアルで言われましたw



お声掛けしながら感じた事は、

観光客のお国柄的パターン。


日本の方は、声を掛ける、こっちを見る、花魁(ツナマヨさん)に気づく、察して道を開けてくれる。


アジア系の方は、声を掛ける・・・・前から気づいて写真を撮りまくってるw

写真を撮る、ビデオを撮る、前に立つ、横に張り付く、好奇心旺盛でした。


それでも、そこにいた方々は嫌な顔もせずに道を開けてくださいました。

この場を借りて、お礼申し上げます。





さて、

ここで先導しながら思い出した事があるのです。



有名な「十戒」という映画をご存知でしょうか。


劇中のクライマックスで、

チャールトン・ヘストン演じるモーゼが、ヘブライの民を率い出国を目指す中、

障害となった海を割って、現れた陸路を進み脱エジプトを果たす。


子供の頃に見て圧巻だった、その海が割れるシーンが規模こそ違え、今目の前で起こっている。


つまりは、皆さんが道を開けてくれる様相が、十戒の海を割るシーンの様でした。


あれだけ密集していた人波が、ツナマヨさんを中心に左右にガバッ!と割れる。

圧巻でした。




そのお陰で、当初考えていたより遥かに早く宝蔵門まで到達し、

我々は悠々と浅草寺本堂まで辿り着いたのです。



少し先の話なのですが、この後に本番の花魁道中が豪華キャストで開催されます。

その復路で、我々参加者も列に加わり移動するイベントがあるのですが。


個人的に、私の花魁道中は、

ツナマヨさんを守って浅草寺本堂まで進んだ、

この20分だったと感じています。

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