料理すること、食べること
基本的に僕はこの家の家事全般を請け負っていて、料理も僕がいつも作ってます。でも作った料理には、ほとんど興味が持てません。
僕は十代の頃は今では考えられないくらい太ってました。痩せてた時期はないくらい。ストレスのはけ口が全くなくて、食べることと寝ること以外に自由はほとんどなかった。ピアノだって音大に行けないなら辞めればいい、なんてよく言われてました。
食べることが好きだから食べる、とはまた意味が違ってます。嫌なことがあったからドカ食いする、とも違ってて。楽しいことがあろうが悲しいことがあろうが、とにかく無の状態でお菓子と油ものをよく食べてました。
もともと偏食はかなりひどくて、水分の基本は牛乳。食べ物の中心はパン。おやつの中心はチョコレート。おかずは野菜の類は苦手で、誰も食べない鳥の皮とか肉の脂身とかが、よく僕が食事する場所に家族全員分集まってました。
これをいじめというのかどうなのか、それは正直わかりません。母ちゃんはもしかすると悪気なんてなかったかもしれないし、僕が鳥の皮とか脂身を嫌そうに食べなかったから好きだと思ってたのかもしれない。
きょうだいからは明らかな悪意を感じてたけど、親からはそれをどっしり感じられなかった。もう麻痺してたのかもしれないけれど。だから実家から出るまでは、好きとか嫌いとかじゃなくて、油っぽいものを牛乳で流し込むような生活が当たり前だった。
強引に家を出た当初、僕は酒飲みの端っこに居て、酒だけがぶがぶ飲んでたから料理なんてほとんどできず。それでも今こうして料理ができるようになったのは、僕よりもさらに生活力のないなんもと一緒に住むことになったからだと思う。
隙あらばコンビニやらスーパーで総菜を山のように買ってくるなんもを見て、「これは破産する」って本気で感じて料理を始めました。…まぁ僕が料理してようが月に数回破産寸前になるような総菜の買い物癖は治ってないのがなんもです。
家を出る前、僕は大きく体調を崩して1か月で8kgくらい落ちました。今は1kg落ちただけでも声がヒョロヒョロになるから、当時相当たくましかったんだなと今ようやく実感してます。
8kg落ちたあたりから食欲が正常になり始めて、「もっと食べろ」「もったいない」と親に言われながらも、人並み以下の量しか食べられなくなりました。
ようやく普通の体型になってからも、前職の激務とストレスからどんどん体重が落ちて、結局家を出る前はマックス体重から15kg前後落ちてました。身体は軽かったし、あの頃は腕力もあったから、あれが正解だったんです。
話が逸れてしまいました。
なんもと生活を始めて、僕は料理を覚えたけれど、食にはほとんど興味がない状態です。好きなものがあればいい。なんもの好きなナスやらヤマイモやらを使った料理も作りますが、作るだけです。
料理って回数をこなしていけば、味の見当がついてきますよね。感覚とクックパッドさんを併用して味付けをしてますが、嫌いな食材が入ってる料理には一切手を付けないままなんもに出します。味見なしです。食べられれば良し!
料理をして食べ物を作るから、食にも興味が沸くかもしれない。って期待をしている親御さんもいるかもしれませんが、残念ながら「作ること」と「食べること」は直結しないケースもあります。
野菜も育てましたが、「育てること」も「食べること」にはつながってないです。
偏食の場合、ただの好き嫌いではなくて生理的に受け付けない場合が多々あります。僕もたくさんあって、無理やり口に入れれば胃の中身も全部吐いてしまうほどです。アレルギー検査では陰性の食べ物も、こうなります。
時間をかけて食べられるようになったものも多いけど、食べられないままのものも少なくありません。リンゴとバナナとキウイ以外のフルーツ全般、どろどろしたもの、食感が想像と違ったもの…。数えだすとキリがないくらいです。
偏食は命を縮めるって、どこかの何かで読みました。これはそうだと思うけど、料理を作っても野菜を育てても、それが食べることにはつながらないとき。無理せずにサプリに頼ってもいいのかなと最近思い始めました。
ビタミンのサプリを飲んでますが、やっぱり違いますね!目覚めもいいし、夜まで眠くならないし。果物も野菜も苦手だから、ビタミン不足状態だったんだとサプリを飲んで初めて気づきました。
できないことは無理やりごり押しで挑戦し続けるのは、精神的に良くないこともあります。本人のやる気次第。発達障がいを持ってる当事者で偏食の人が無理だと言ってるのであれば、無理なのかと割り切ってしまった方がお互いの為です。
お互いが苦しくならないような工夫は、時に勇気が必要です。ほんとにこれでいいのかって迷いますが、時間が流れれば徐々に変わることもあります。偏食も時間と共に少しずつ軟化していきます。
…僕みたいに好き嫌いしなきゃてすが。好き嫌いと偏食を見極めるのは難しいです。これはまた次の機会に。
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