家族、血縁
家族って言葉があります。血縁って言葉ととても密接です。僕は血縁だとか家族って言葉は、一種の呪縛だと思っている節があります。
僕の血のつながった家族や親族は、勉強ができる人間が圧倒的に多いです。勉強ができればいい大学に行けて、いい大学に行ければいい就職先に行ける。そんな考えの人ばかりの中で育ちました。いとこもきょうだいも、頭はいいです。勉強はできます。
僕の場合は、勉強はからきしでした。国語の現代文以外の暗記の類はテストは、どんなに勉強しても覚えられなかったし、数学は問1の計算問題以外はお手上げ。文章題になったり応用になってくると、もうついていけません。
計算そのものは今でも苦手で、簡単な計算にもまぁまぁな時間がかかります。国語もひらがなだけ、カタカナだけの絵本は字が浮いて見えてきて読めなくなります。字が迫ってくる感じ。これが分かったのは、幼稚園に勤務していた頃。もともと字を読むのはすごく苦手で逃げてきてました。
どうして苦手から逃げてきたのか。
理解者がいなかったからです。
家族ってくくりの人間には、字が浮いて見えることさえ未だに話してないです。
「嘘ばっかりついて」
「それで?どうしてほしいわけ?」
「血縁者だけど、それだけだから」
「勉強できない人は居てもしょうがない」
「存在が恥ずかしい」
「生まれてくる性別を間違えたんじゃないか?」
子どもの頃から家を飛び出すまで。ずっと陰で表で言われてきたことです。うつ病も、自律神経失調症も、過敏性腸症候群も。全部もみ消してきた家族です。これ以上何か言うと、存在をもみ消されかねません。
苦手、っていえば克服の兆しがあります。でも苦手じゃなくて不可能なことも多々あるわけで。不可能の克服は、どんなに頑張ったところで不可能です。
頑張ればアスペルガーが治って、うつが治って、自律神経も整って…。そんなわけないんです。頑張るところが違ってる。
僕は圧倒的に「できないこと」が多い人間なのは重々承知してます。でも血縁者には「できない」がまだ言えない。「できない」が許されないからです。「できない」じゃなくて「やる」。結果できなければ劣等生。これもまた、家族の形です。
きょうだいとはここ10年くらい口もまともに聞いてないです。帰省はするけど、「おかえり」って言われないですね。見えてないみたい。親は僕が家を飛び出して何年も帰省しなかったのを見て、こいつはおとなしいだけじゃないと思ったようで、ほんの僅か歩み寄ってる感じ。親族もそんな感じでニコニコしてる裏側には厚い壁があります。
家族、血縁。子どもの頃から理解はしてくれない人たちの中で育ったおかげで、家を飛び出していろんなものが見えてきました。いいことも悪いことも、経験だと思えるようになってきたのも最近です。
これが世の中のルールなんだと思ってたことが、全然違ってたこともたくさんあります。風邪を引いて夜中に結構吐いても休んじゃいけないとか、頭ごなしに怒鳴られてるのは相手の機嫌が悪くて八つ当たりされてただけだったとか。
「いや、そりゃおかしいやろ」
なんもと出会ってから、何回も言われました。これもあれも、家族だから血縁だから当たり前と思ってたことがことごとく違ってる。
親を恨んだ時期もありました。なんで僕がおかしいってわかってたのに、病院に連れて行ってくれなかったんだと思ったこともありました。でもそれも「家族の形」なんです。きっと。
今もしも、家族や血縁で苦しんでる発達障がいを持ってる方がこのエッセイを読んでくれてるのなら。
家族やら血縁なんて、ちっぽけなもんだよって声をかけたいです。親のいうことをすべて聞く必要も、血縁者の言いなりになる必要もない。死にたいと思えるくらいに思い詰めてるなら、家を出た方がいい。お金のこともあると思うけど、できるなら家を出てしまった方が、絶対にお互いの為になるから。
物理的な距離は、理解を示してくれない人とは絶対に必要です。僕はできないことが多いから、理解してくれない人も嗅ぎ分けられます。…それくらいの野生の何かがないと、生きていけなかったから。
こいつはだめだと思ったら、距離を空けていい。できるならかかわりを持たない方が、絶対精神的に安定する。これは僕の経験だから、なんともですが…。
家族とか血縁とか。絆が呪縛になるのは一瞬です。辛くない距離で、上手に付き合っていくのが一番。本当に理解しあえるのは、家族。ではない可能性もあります。
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