第123話 王との謁見

娘たちは1日にしてBランクに飛び級してしまった。

末恐ろしい。

そろそろ王との謁見の予定が決まっただろう。

門番に確認するため城へ向かった。

すると待っていたのだろう、門番が駆け寄ってきた。

俺の噂はこの国にも届いていたらしく、すぐにでも王が会いたいと言っているそうだ。

今日はもう遅いので明日の朝来ると伝え城を後にした。

新しい街に来たのだからここの名物を食べておこうということでギルドに戻り受付嬢に聞いてみることにした。

ここの名物はジンギスカンらしい。

ということは羊が居るのね。

あとで家畜にするために捕まえに行くことにした。

受付嬢に一番人気の専門店を聞いたので早速向かった。

店はなかなか繁盛していた。

肉は最高なのだがタレが物足りない。

こっそりとアイテム召喚でタレを出した。

やっぱりこれじゃなきゃ!

うまさ倍増だった。

娘たちも目を見開いて驚いていた。

満腹になり満足したので門に向かって歩いた。

今から外に出るのかと驚かれたが、野宿するからと言って通してもらった。

無理せず宿に泊まることを勧められたが、ギルドカードを見せたらこのランクなら大丈夫かと変な納得をされた。

門から少し離れたところに小屋を出し、今日は早いが風呂に入ってもう寝ることにした。

風呂に浸かっていると遅いよと言いながら娘たちが入ってきた。


「こら! もうすぐ上がるから待ってなさい。」


「別にうちらは気にしないからお構いなく。」


と、服を脱ぎ身体を洗い始めた。

大人の俺が焦るのもかっこ悪いので冷静を装った。

その日から時間の節約と言いつつ、平気で乱入してくるようになった。

お世話になっているからサービスよとからかってくる。


次の日の朝、謁見のために城へ向かった。

今日は王に挨拶に行くので冒険者装備ではなく、王族衣装を着ている。

娘たちにはドレスを着てもらった。

ここは聖バレンタインで宗教国家である。

女神が信仰対象の国家だ。

その使徒である俺が訪れたのだから大歓迎なわけだ。

昨日はヤキモキしながら待っていたらしい。

悪いことしたなと若干反省した。


「メリーナ様の使徒、スカイ様。聖バレンタインにようこそ。歓迎いたします。」


「初めまして、スカイ・ブルームーンです。この3人は旅の同行者です。ちなみに最近、マリーナ様の使徒にもなりました。この3人はマリーナ様の最初の御使いです。それでこの3人の修行の旅に同行しているわけです。」


「え? マリーナ様とは最近職業の女神に選ばれた、あの女神様のことでしょうか? 巫女に神託がありました。」


「そうですね。その女神様で間違いありませんよ。」


謁見の間に居た王族や貴族も含め平伏している。

なんとも気まずい雰囲気だ。

3人娘も挙動不審になっている。

まあまあと宥め、話が進まないのでとりあえず立ってもらった。


「こちらとしては今後良い関係を築き、貿易を行いたいと思っているのだがどうだろうか?」


「もちろんです。噂は聞こえてきております。素晴らしい製品を開発しているそうですね。ぜひともよろしくお願いします。あと、お願いがございまして、この国には女神様が降臨したことがございません。それで女神様の容姿が分からないのです。像を作り神殿に飾りたいのでどうかご教授願えないかと。」


「構いませんよ。では、あとで神殿に案内してください。」


神殿は城の隣にあった。

さすが宗教国家だ。

城と同じくらいあるんじゃなかろうかと思うほどにでかい神殿があった。

そこにはすでに女神像が飾られてはいたが、全く似ていなかった。

まず、幼女じゃないメリーナはメリーナじゃない!

まず、等身大のメリーナ像を作ってあげた。

え?って顔をしてるけど、これが実際のメリーナだから。

そんな放漫なバディじゃないから。

続いて、マリーナ像も作ってあげるとなんかホッとした顔をしていた。

まあ、女神と言ったらマリーナのような姿を想像するよね。

そして、おいしい料理をお供えするように伝えた。

王は大急ぎで料理を準備させ、城中の人間を神殿に向かわせ祈った。

ここまでされたら出てくるしかないよね。


『ティア、メリーナに連絡よろしく。』


女神像が輝き出した。見れないほどに眩しい。

平伏す人々の前にメリーナが降臨した。


「わらわは叡智の女神メリーナじゃ。」


「久しぶりですね。お供え物を用意してもらったのでどうぞ。」


「そうかそうかって、ここはどこじゃ?」


「聖バレンタインです。女神を崇拝している国なのに降臨したことが無いっていうから呼んだんですよ。」


「そうか。そういえばそんな国があったと昔聞いたことがあったわ。」


そして隣の女神像も輝き出した。


「ひどいですよ。私も呼んでくださいよ。」


マリーナも降臨した。

状況を理解できず、この国の人々は固まっていた。


「娘たちよ、元気のようですね。修行がんばってくださいね。」


「王よ。せっかく女神が降臨したのだから何か言いたいことはないのか?」


未だにフリーズしてアワアワ言っている王に問いかけてみた。

絞り出した言葉が、「これからもよろしくお願いします」だった。

王よ、しっかりしてくれ。

今後、お供えをしっかり捧げることをお願いして神殿を後にした。

復活した王にめちゃくちゃ感謝された。

本当に女神が降臨したことで信仰がさらに深まったようだ。



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新作もよろしくお願いします。


第2弾 https://kakuyomu.jp/works/1177354054897542411


第3弾 https://kakuyomu.jp/works/1177354054898257850

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