第78話 カズマタウン

岸に到着すると、数匹の槍を持ったリザードマンが駆け寄ってきた。

警戒し身構えたが、話始めたので警戒を解いた。

転移者がテイムし、門番をやらせているリザードマンのようだ。

リザードマンにこの町の一番偉い人に会って話がしたいと伝えた。

それで会ってくれるか微妙なので合言葉で誘うことにした。

『織田信長を知ってるか?』と。

あの城から見て、間違いなく戦国武将マニアであろうと予想し誘ってみたのである。

1匹のリザードマンが城に向かって走っていった。

帰ってきたリザードマンが、殿がお会いするそうだと言ってきたので確信した。

間違いなく同郷だ。


船を収納し、リザードマンについて行くことにした。

『Welcome カズマタウンへ』という看板が目に入ったが見なかったことにした。

転移者の名前はカズマらしい。

町に入ると田んぼや畑が広がっていた。

田んぼ!! なんと米を生産しているのだ。

田んぼではリザードマンがイネの世話をしていた。

田園風景の先に町が見える。

町に入ると獣人で溢れていた。しかし、人間(ヒューマン)の姿は無い。

エルフやドワーフすらいない。すべてがモフ耳の獣人ばかりなのだ。

あとは言葉をしゃべる人型の魔物のみ。

疑問を抱きながらリザードマンの後について行く。

城の門に着くと猫族獣人メイドに引き継がれ、カズマの待つ部屋に案内される。


「よく来てくれたな。同志よ。」


そこにはカズマという転移者がいた。

想像していた人物像とあまりにも違っていたので固まってしまった。

サクラも同様に固まっていた。引いてしまったのだ。

青年を想像していたのだが、そこに居たのは小太りのおっちゃんだったのだ。

武将マニア、モフマニアで厨二病まで患っていそうなの小太りのおっちゃんに唖然としてしまった。

袴姿にチョンマゲまでの徹底ぶりには頭が下がる。

再起動した俺は挨拶を交わす。


「初めまして、日本からの転移者のスカイだ。前世の名前わからんが記憶は残っている。今はシルバー王国で暮らしている。よろしく。」


「同じく、小鳥遊 桜です。よろしく。」


「俺は斎藤一馬だ。この城の当主で、この町の領主だ。よろしく。」


握手を求めてきたので、握手を交わす。

その隙にティアがスキルを盗んだ。


*ステータス

 名前: 斎藤 一馬

 性別: 男

 年齢: 42歳

 レベル: 20


ユニークスキル

 開墾、魔物召喚、種召喚、検索、ギフト



開墾: 荒地を開墾し、農地や住宅地に変えることができる。家や公共施設の建設

    し、町を作ることができる。


魔物召喚: 討伐経験のある魔物を召喚し、従えることができる。


種召喚: 異世界を含むあらゆる植物の種を召喚することができる。種は召喚された

     環境でも生育できるように補正される。


検索: 異世界も含む検索ができる。周囲の検索も可能である。


ギフト: 自分の持つスキルを与えることができる。ユニークスキルは不可。


今後あまり関わりを持ちたくないタイプと判断し、町を見学したら旅に出ることを告げ部屋を出た。

リザードマンは魔物召喚で召喚し、ギフトで言語を与えたのであろう。

早速、シルクとリッカに言語を与えた。

話始めたシルクが相変わらずのヤンデレで安心した。


町の露店には、焼きおにぎりや串団子が売られていた。もち米も育てているようだ。

焼きおにぎりを食べてみると懐かしい味と触感だった。

これは以前に食べたこの世界の米ではなく、日本米である。

種召喚を使ったのであろう。

味噌や醤油も開発済みのようだ。

だが、彼との取引はちょっと。自分でなんとかしようと思っている。

俺にはサクラという相棒もいるので。


町は整然と商店が建ち並び、城を中心に商業区と住居区が分かれていた。

もし、自分で町を作るときには参考になりそうだ。

町を歩き回ったが、やはりヒューマンは一人もいなかった。

殿のカズマの招待が無ければ我々も町に入れなかっただろう。

船着き場に船を出し、カズマタウンを出て旅に戻った。


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