続・いいツーツーの日

 友達じゃない君に電話をしようと思っただなんて、そんなことがあると思うか?

 あるかもしれないから、そう思っているのかもしれない。

 だがそんな、少し息が苦しいから、というだけの理由で、友達でもない君に電話などするはずがない。そうだ、君は友達じゃない。

 友達じゃないから私たちはこうして喋れているんだ。

 友達だったら? 君、何度言わせるんだ? 君はひょっとして本当に私と友達になりたいのか?

 違う?

 それならば疑わせるようなことを言わないでくれ。尊大ぶってはいるが私の精神はそこまで強くはない。流れるように話せるのは相手が君だからだ。友達じゃない、君だから。

 何も特別なことじゃない。私が何を言っても君は特に気にしないし、悪いことを言っても元からゼロの好感度だ、下がりようがないだろう。それに君に何を思われようが、私は君のことなんてどうでもいいんだ。どうでもいい相手から何を思われたってどうでもいい、当然だろう。

 なぜ笑う? 何もおかしなことは言っていないのだが。

 不可解な奴だ。これが友達なら私は不安の渦に呑まれていた。

 嫌われたくない相手と接するのはとても苦しい。常に常に己の行動をジャッジせねばならないからだ。君も当然そのことは知っているだろう。

 知らない? そんなことは考えたことがない? 幸せな奴だ。私は君が憎いよ。だが許そう、君は友達じゃない。どうでもいいんだ、何もかも。

 嫌われること、見捨てられること、一人になると何もかもどうでもよくなる。怠惰、無気力、憂鬱な愚図、何とでも言いたまえ。君から何を言われようが私にダメージはない。どうでもいい人間から何を言われようがこれまたどうでもいい。わかるかな。

 そんなことは言わない?

 よしてくれ、君は友達じゃない。そんな約束、しなくてもいいんだ。君はただ、どうでもいい存在のままそこにあり続けてくれればいい。どうでもいいこと、それが■■だなんて私は、

 私は何を言った?

 そうか、何も言っていないか。

 それならいいんだ。

 やはり君が友達じゃなくてよかったと思うよ。心の底から。これからもずっと、それが私にとってたった一つの、

 違うな、おかしなことを言った。そんなことは言わなくてもいいんだ。必要ないんだ。ただただ無が広がるだけでもいい、構わないんだ。許されるんだ、特別なことなんてしなくていい。なぜって、

 君は友達じゃないのだから。

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