第16話「3月19日エセ画家」

所用により、少し予定が遅れたが、水張りが順調だ。


どんどん水張りをしている。



ただ1つ、残念なのは、わたしが水張りが下手だと言うことだ。


どうしよう。

このままじゃ、作品として出品出来ない。


しかも、この大きなパネルはどうやって東京まで送るのかも気になる。

出品先の事務所に電話してみた。



「あの、募集要項にある作品の郵送の方法なんですが云々」



「作品を折って畳んで、規程の封筒に入れて送ってください」

「!?!?」「水張りしたんですが、パネルごと送っちゃダメなんですか?」


「は?」「水墨画部門ですよね?なんでそんなことしてるんですか?」「和紙または中国産の紙に描いて、封筒に入れて送ってください」


「!」





ちーん




嗚呼。もう水張りほとんどおわっちゃったよ。


無様である。

やはり、自己流のエセ画家はこんな失敗が付き物だ。


■■解説■■

あとで分かったが、水墨画では和紙を水張りしたパネルではなく、麻紙まし(麻の紙)を水で貼った麻紙パネルを使うらしい。無知とは罪。

和紙は貼らずに下敷きを敷いてそのまま使ってください。

ちなみに、麻紙を好んで使う人が多いが、麻紙じゃないとダメと言う決まりはないらしい。

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