第43話 討伐の報酬
第2の街へ着いた後、ログアウトした
そうしているうちに興奮も冷めて落ち着き、代わりに睡魔に襲われた大和は、誘われるままにベットへと潜り、夢の世界へと旅立った。
翌日、家事を終えた
深夜までPAOをプレイしていたにも関わらず、いつもより少しだけ遅く起きただけで済んだ事は若さゆえか。
「こっちはまだまだ夜だな。」
本日は『ヨイノヒ』なので、あと半日は日が昇らない。
街にはいくつもの街灯がオレンジ色に輝き、いつもとは違う夜独特の雰囲気を醸し出している。
ただ、行き交うプレイヤーの数は多く、寂しさとは無縁であり、どちらかといえば祭りの
そんな中、ユウは人通りの多い路地から外れた裏道を進んでいた。
街灯がなく迷路のように入り組んだ路地裏は、マッピングしていなければ確実に迷子になるだろう。
やがて、目的の民家に着いたユウはドアをノックし、出てきた隠れ鍛冶師で家主のフブキに招き入れられるまま家中へと消えていった。
そして、およそ1時間後、フブキの家から出てきたユウの手には新しい盾が装備されていた。
五角形型のその盾は、野球のグローブ大程の大きさであり、
また、盾の先端からは魔石狼オルタナの大爪を加工して作られた3本の鉤爪風のスパイクが突き出ており、竜の爪を彷彿とさせた。
本来は鉱石狼オルフェノの素材を使用する予定であったものの、フブキの案で盾の大部分をより頑丈なオルタナの素材に変更したので、防御力も数段向上している。
盾の色もオルタナの体毛と同じ青黒色となり、黒鎧とのデザイン性がマッチしているので、ユウは一目見た時から気に入った。
「よろしくな。『オルタナ』。」
ユウは右手で優しく『
ー グォオオン ー
ー 任せろ
夜風にのってそう聞こえたのは気のせいか。
盾の作製依頼と装備品のメンテナンスが完了したユウは第2の街を後にし、再び王都へと向かった。
星が瞬く夜の草原フィールドは幻想的で、昨日と違い心に余裕があるユウは、周囲と空を見渡しながら感嘆のため息をつく。
オルタナのソロ討伐ボーナスと、その帰路での幾多のモンスター討伐により大量の経験値を得たユウのレベルは数段上がり、現在『21』となっている。
その為、草原地帯でユウを手間取らせるモンスターはほぼ居らず、早々と王都に辿り着く事ができた。
王都へ戻ったユウは手早く軽めの用事を済ませ、今日は早めにログアウトした。
現実世界に戻ると、
明日は人生で初めてのイベントがあるのだ。万全の態勢で臨みたい。
寝息を立てる大和の手元近くにあるスマホの画面には、返事済のメッセージが映し出されていた。
『明日はよろしくお願い致します!
西織花奈』
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