第37話
「いいだろう。化け物退治の正装だぜ」
「俺には核戦争後の荒廃した世界で、ひゃっはーとか言っているやつにしか見えないがな」
「あたり! あんたよくわかっているぜ」
すると、さっきから魁斗の服をじっとみていた紫苑が言った。
「あんた、その服、どこで買ったの?」
「買ったんじゃないぜ。つれが職人でよ。そいつに作ってもらった特別製だぜ」
それを聞いた紫苑が物凄い形相で魁斗に歩み寄り、魁斗の胸ぐらをつかんで強い口調で言った。
「あんた、そのつれ、あたいに紹介してよね」
「は、はい」
紫苑のあまりの剣幕に、魁斗が小さな声で答えた。
封印の風穴入りの当日に魁斗を迎えに行くと、例の服を着て朝からハイテンションで待っていた。
「やっぱり、それ着るのか」
「化け物退治の正装だぜ。飛燕だって陰陽師の服を着てるじゃねえか」
「だから私は陰陽師だと言っただろう。斬らなくてもあやかしと対峙するときはこの服を着ることにしている。陰陽師の正装だからな」
「じゃあ、この服が俺の正装ってことでいいよな。相手が化け物でも、命のやり取りをするんだから、正装じゃないと失礼だろう」
「好きにしろ」
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