第9話

「そんなこまかいことはいいから、早くパラダイスに連れてってくれよ」


「……じゃ、車に乗れ」


魁斗は何も言わずに車に乗り込んだが、車が動き始めると目的の場所に来るまでずっと「パラダイスパラダイス」と嬉しそうに連呼していたのだ。



車が停まった。


「着いたぞ」


「ここ神社じゃねえか」


「そうだ。ここがおまえのパラダイスだ」


魁斗は怪訝な顔で車を降りた。


「こっちだ」


私が歩くと魁斗がついてきた。


先にはスーツを着た青柳が待っていた。


「連れて来たようだな」


「なに、このひらリーマン?」


「おい、失礼だぞ。これからおまえの師匠になる男だ」


「師匠? このひょろひょろが」


青柳は背は高いがかなり痩せている。

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