夢の中の夢

グチゃ...ぐちゃ...



まただ。もう5回目。

またこの夢。次はお皿が映る。


黄色いテーブルクロス。白いお皿。

いい加減この夢を見るのも苦痛だ。ただでさえ気色悪い夢なのに・・・。

私は今日まで夢から覚めた時と同じように、目を瞑り叫び声を上げる。


その内に私の耳に聞こえるのは私自身の叫び声だけになり、叫ぶのを止める。咀嚼音はもう聞こえなくなっていた。私は夢から覚めたと確信してゆっくりと目を開ける。ただし、目に映ったのは私の思っていた光景ではなかった。


白い壁。白いベッド。部屋の中央には白いテーブルと白い椅子。黄色いテーブルクロスに白いお皿。この部屋は、おそらくは今日まで見てきた夢の中の部屋に違いなかった。


私は気が狂ってしまったのだろうか?確かに目が覚めたと思ったのに、明らかに夢の中で見ていたはずの光景が目の前に広がっている。ほんの少し茫然として・・・気が付くと私は椅子に座っていた。黄色いテーブルクロスの上には白いお皿。お皿の上には1匹の蟇蛙が座っている。


次々に目に映るもの、記憶が飛んでいくような感覚。こんな感覚はおよそ現実ではないだろうことは確かだ。・・・つまりどうやら私はまだ夢の中にいるらしかった。


断片的な情報が次々と頭の中に流れ込んでくる。どうしてお皿の上に蟇蛙?と思ってもう一度お皿を見てみると、先ほどまでは座っていたはずの蟇蛙が今度は死んでいる。死んだ生き物を見るのはあまり好きではないのに、視界一杯に死んだ蟇蛙が映る。この夢は徹底的に私に苦痛を与えるつもりらしい。(蟇蛙の死体には蛆が集っていた。)


もう一度、目を瞑って叫び声を上げ、目を開ける。

もう一度。もう一度・・・なんどやっても皿の上の蟇蛙が見える。蛆が楽しそうに(虫に感情があるの?)蟇蛙の体を這いずり回る。


何度繰り返しても、どうやら無駄な努力にしかならないようだった。

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