帰ってきた偽教授駄作杯 結果発表&寸評

はいそういうわけで早速発表です。今回も読んだ順で並べています。


トリプレット・ワールド/きょうじゅ(主催者)

https://kakuyomu.jp/works/16818093072856224547


わたしが書いたやつです。これについて何を言うべきだろう。褒めてくれた人もいるんだけど、自分ではどうしようもなく気に入っていないやつです。消したい。だが消さないのだ。自らへの戒めとするために。


勇者よ急げ!!/豆腐数さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093076902916468

これ正直読みたくねえな……と思いつつ、最初に読んだ。くだらなかった。心底くだらなかった。いや腹は下ってるんだけど。この作品が「駄作杯」の作品として評価する上でひとつ惜しいのは、どうやら即興で書かれたものらしいという点ですね。「構想三年、執筆一年、だけど駄作」みたいな作品の方が駄作度は上がります。上がってもしょうがないけど。


お百度参り/煙 亜月さま

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892822328

駄作というよりは凡作かな……。キレがないが、かといって突き抜けたダメさもない。ひいばあちゃんが実は100歳であることが発覚しました、ということ以外話にフックがなく、かといって読む人を呆れさせるほど駄作かというとまあ別に。そんな感じです。


或る男の供述/月見 夕さま

https://kakuyomu.jp/works/16817330654462845828

ふつうに面白かった。掌編としてよく纏まっている。つまりダメです。お書きになったご本人がこの作品を気に入らない理由は薄々分からんでもありませんが、駄作杯のレース参加作品としてはぜんぜんダメです。星三つ付けときました。面白かった。この男が実刑を喰らうかどうかは弁護士のやる気次第じゃないかなー。


ドザえもん/双葉紫明さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093076584066307

ギャグが寒いといえばだいぶ寒いんだけど、でもちょっと笑っちゃったからダメです。つまり、この輝ける(輝けない)偽教授駄作杯の賞を取るには値しません。


このクソみたいな人生に一杯の祝杯も無し/中田もなさま

https://kakuyomu.jp/works/16816927859289309493

普段の中田さんの作風とだいぶ違うな……と思いながら読み進めたけど、最後まで読んでみるとやっぱり中田さんだなと思った。そんなに出来のいい掌編ではないのは確かだけど、かといってまったく読めないというほどでもない。まあ、普通ですね。


狙撃のシンギュラリティ/柴田 恭太朗さま

https://kakuyomu.jp/works/16817330651103819058

これ俺の企画のやつじゃん。まあ、俺が既に読んだことのある作品を提出したらいかんとは言ってないので、別にいいといえばいいんですが……前の講評でも書いた通り、まあSF掌編としてそこそこ無難にまとまってると思いますよ。少なくともこの企画には、もっとすごい駄作が集まっているので、賞とかは出ません。


Primitive/犀川 ようさま

https://kakuyomu.jp/works/16818023213100498078

んー……これは評論が難しいな。真面目に書いていることは分かる。小説の練度も高い。いわゆる「駄作的な駄作」ではない。でも、なんていうか……評判が悪い、というのは分かります。だって主人公が不愉快な人間だからです。評判が悪い作品というのは評判が悪い作品であって、駄作とは違うカテゴリだ思う。


愛は水の中/鍵崎佐吉さま

https://kakuyomu.jp/works/16816700428323673166

オチまで読んで暗っ! と思わず叫びそうになった。小説技巧的なことを指摘する趣旨の企画ではないから細かいことは言いませんけど、「小説でやんないほうがいいこと」があっちこっちにちりばめられていて、駄作というかこれは失敗作かな。「ひどすぎる」という感じがないのです。「あ、ミスってる」という感じはあっても。


フラスコで飼う星の話。/五水井ラグさま

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880874098

うーん。文化祭で売ってる文芸部の部誌に載ってる小説みたいな味わいだった。文体がくどくて読みにくいし、テーマもありきたりで、駄文といえば駄文なんだけど、ぶっちゃけ言ってしまえばこの手の小説なんてみんなそんなものだろう。つまりは普通ですね。


秘境駅🚉54字の与太話/野栗さま

https://kakuyomu.jp/works/16817330667827448706

まあ、どうということもないショートショートですね。一話だけで終わってたら本当に正真正銘の駄文だけど、二話があることで最低限小説としての体裁はある。面白いかといえば格別面白くはないけど、まあ、駄作杯で賞を取る水準には無い。


(アン)ラッキーガイ・セブン/紫陽_凛さま

https://kakuyomu.jp/works/16817330654426921009

え?なに?これで終わり?続きは?ないの?しかも夢オチ!??夢の中でポーカーやって負けて終わる話らしいけど、負け筋に必然性も伏線もなく、二回読んでようやくそれが理解できるというレベル。えーと、これ書いてる時点でまだ募集を締め切ってないので断定はできないんですけど多分これが受賞作ですね。


闘う中学生/楠木次郎さま

https://kakuyomu.jp/works/16816452219441509650

とか言ってたら最終日に三万五千字ある力作がエントリーされてまいりました。三万五千字もあるので、適当に読み飛ばして適当な「辛口コメント」を投げて済ませようかと思ったんですが、最初らへんと最後らへんをちょっと見て認識を改め、頑張って全部読みました。なぜなら、さすがにこういう文脈の賞を完読すらしていない作品に出すわけにいかないからです。さてこの作品、驚くほど筆力が達者です。筆力が達者というのは文章力が高い、日本語が上手いという意味です。内容を褒めているわけではありません。内容ははっきりいってかなり不快です。初っ端から延々と展開される陰惨ないじめ描写、これっぽっちも共感の余地のない主人公、脈絡なく投入されるチェーホフの銃、そして雑駁で愚劣な復讐のモティーフ、さらには救いのかけらもない、それでいてありきたりな結末。他のエントリー作品といささか、否、かなり異なるところは、この作品は「ガチ」だということです。軽く書き流したしょーもない小説ではなく、全力で書き切られた、どうしようもない小説だということです。完璧です。これが駄作の頂点でなくて、何が駄作の頂点でしょうか。


激烈!担々麺マン!!/@dekai3さま

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917602506

これは『駄作』ではないと思う。こういうジャンルの作品であることを狙って、こういうジャンルのものとして書かれたという文脈が強い。くだらないといえばくだらないけど、それは駄作だからくだらないのではなく、最初からそういうものとして書かれてるわけで。


というわけで、結果発表に入ります。


偽教授駄作杯、シルバーラズベリー作品・脚本・主演男優賞三冠!

楠木次郎さま『闘う中学生』に決定です!


シルバーラズベリー最低リメイク賞とかも出したら面白いかなという気持ちはあるんですが、企画趣旨上角が立つのでやめておきましょう。というわけで今回は終わりです。んじゃまたー。

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