募集要項

Amor vincit omnia et nos cedamus amori.


愛は全てを制し、我らを愛に屈せしむ。

――ヴェルギリウス『牧歌』


というわけでやってきました第!四!回!偽物川小説大賞ー! どんどんどんどんぱーふーぱーふー


さて。


この企画では、レギュレーションを満たした全参加作品に3名の評議員による講評が付き、さらに一点選ばれる大賞の受賞作には、第三回と同じくももなあさん(https://twitter.com/momonaa4)による何らかの何かが贈呈されます。


ちなみに偽物というからには本物もあるのかもしれませんが、その詳細は歴史の闇のかなたです。


前回(第三回)の偽物川小説大賞についてはこちら↓。


https://kakuyomu.jp/user_events/16816700427048998198


今回の「偽の評議会」は以下の三名から構成されます。


・偽の教授

・偽の籠原

・偽のマヤ


では、以下にレギュレーションを示していきます。


今回のテーマは「愛」です。ただ、愛、と一口にいっても指示範囲は非常に広大です。ですので、今回はこちらから定義を示します。恋愛心理学者ジョン・アラン・リーの理論で、「恋愛六類型論」というものがあります(Wikipediaのページ名は『ラブスタイル類型論』)。それによれば、愛には六つの類型があります。エロス、ルダス、ストーゲイ、マニア、プラグマ、そしてアガペーです。


エロスとアガペーはまだしも他は知名度が低い概念ですので、少々紙幅を頂いて、解説していきます。


・エロス Eros

ロマンティックで性的な愛のこと。例えば、一目惚れ、運命的な恋、などといったものはここに分類されます。もっとも一般的な「恋愛」の概念に近く、「性愛」もここに含まれるところが多いでしょう。顔が好みで好きになる、巨乳/貧乳萌え、ハートがドキドキする、といったようなものは全部ここに入ってきます。


・ルダス Ludus

遊びの愛、と訳される概念。ゲームのような、駆け引きのような関係性、或いは相手を次々に取り換えたり、複数の相手と同時に交際したりといったような恋愛のやり方。プレイボーイの概念はここに属すると言えます。


・ストーゲイ Storge

友愛、と訳されます。友情のように穏やかな、激しさのない愛。長い時間をかけて育まれる性質を持ち、熱情よりは仲間意識に近い感覚を持つ。ルダスのそれとはまた違った意味で、独占や嫉妬と無縁である場合も多いです。これは私の解釈ですが、同性間のブロマンス(男同士の深い友愛)、ロマンシス/ガロマンス(女同士の深い友愛)もストーゲイの一種とみなしていいかと思います。


・マニア Mania

偏執的な愛。狂的な愛。病的な愛。情熱的かつ脅迫的に相手にのめり込み、苦痛や痛みを伴ってなお止まることがない。ストーカーであるとか、ヤンデレであるとか、メンヘラであるとか、そういった感じの恋愛概念を包含します。


・プラグマ Pragma

実用的な愛、と呼ばれるもの。計算高く、社会的な成功などの目的のために対象を利用する。例えば相互の収入などに基づいたマッチングによるお見合いから始まる結婚などは、プラグマに分類されます。


・アガペー Agape

利他の愛。人類愛、博愛。あるいは神の愛、と訳す場合もあります。自己犠牲的な行動を厭わない、自分の見返りよりも相手の利益を考える、見返りを求めずに献身する。この言葉は宗教的な概念の一つであり、また色恋とは別のものという側面も強く、調査研究によれば現実の人間同士の恋愛においてはほとんど見られないことが知られています。


この説明でもし不足があるようでしたら、主催者が責任をもって対応しますのでいくらでも御質問をどうぞ。


なお、これは重大な問題なのでここで説明しておきますが、色恋を書くにせよ他の愛を書くにせよ、「異性間でなければならない」とか「人類でなければならない」とかいった縛りは一切設けません。ご自由にどうぞ。


実際に参加するにあたっては、御自身で『愛がテーマである』とお考えになる作品を執筆していただき、それをエントリーするに際して、タグで当該作品がこの六つのどれに該当するものであるかを明記してください。


そして、特殊な位置付けになる七番目のタグもあります。「該当分類なし」です。自分のこの作品が描く愛は六類型のどれにも属さない、と宣言される場合はこのタグをご利用下さい。


またタグの使用は「どれか一つ」ではありません。実際に使うタグの数は1~6の間で自由に選んでくださって結構です。何なら全部入れるのもありですのでご自由に。ここで何をどうしても、大賞選考での有利不利には原則として影響はありません。


また、タグを忘れたというだけでエントリーからはじくつもりはないので、タグのない作品については評議員サイドで分類を考えます。「小説は書いたが、どのカテゴリか自分ではわからない」という場合、タグなしで提出しても構わないということです。


次に、各賞についてです。本企画を含むいわゆる「川系小説大賞」においては、大賞の下には金賞と銀賞が置かれるのが一般的であるのですが、今回の第四回偽物川小説大賞には、金賞・銀賞・銅賞はありません。大賞は大賞のままですが、その直下に「エロス賞」「アガペー賞」「ルダス賞」「プラグマ賞」「ストーゲイ賞」「マニア賞」の六つの各類型部門賞を配置します。その他に、各評議員の個人賞も選出する予定です。


次は文字数の規定ですが、「3000字以上~2万字以内」(カウントは本投稿サイトのそれに準拠します)とします。ジャンルは不問、そしてここ過去の偽物川と違うので注意していただきたいのですが参加作品は“一人三作品”までで、募集期間内に完結させてください。締め切り時点で未完の作品は参加扱いにならず、講評は行われません。締め切り後に完結させても駄目です。


そしてこの企画の発表後に公開を開始した「書き下ろし新作」のみの募集であり、既作の応募はBANの対象となります。完結となった作品から順次講評を書いていきますので、完結後の大幅改稿、作品取り下げはご遠慮ください。


なお、レギュレーションに抵触しない限りにおいては、別の公式企画・自主企画との重複参加は特に差し支えありませんが、文字数的に両立できないコンテストとの重複応募もBANの対象となります。また、その他そうするべき特殊な事情があると主催者が認めた場合もBANの対象となることがありますが、普通に参加している方には関係のないことですのでこれは別にお気になさらず。


応募受付期間は、この企画が公表された本日2022年7月1日時点から、同8月15日までとします。


企画締め切り後、可及的速やかに選考を行います。選考方法ですが、大賞についてのみ解説しますと、審査員3名が各自3票を持ち、大賞に推す作品3つに投票します。その投票基準は各審査員に一任されており、共通の公的見解などはありません。最も多くの審査員から票を得た作品が大賞となります。1位が同票数となった場合は審査員3名の合議により大賞作を決定します。


受賞作・講評についてはnote記事上で発表します。また、質問等は下記近況ノートで受け付けます。


最後に、偽の評議会から開幕の挨拶をさせていただきます。


偽の教授:どうもきょうじゅです。今回もお題は私が考えました。第二回からずっと自分で決めてます。「死→神」と来たんで、ここはもう次に来れるものは「死→神→愛」しかないだろうと思ったんだ。今回はレギュレーション上、「単なる恋愛小説」でも参加は可能です。ただ、これは私一人の意見ですが、「これは単なる恋愛小説だな」と思ったら高い評価にはしません。「これは真にエロスというものを描いた恋愛小説だな」と思ったらその限りではないですが。第三回で「いろんな神」が来たのと同じように、今回も「いろんな愛のかたち」を見せてもらえることを期待しておりますので、みなさまよろしくお願いします。


偽の籠原:籠原スナヲです。それにしても、愛とはいったい何なのでしょうか。私自身も真剣に考えていますが、答えを得られたことは一度もありません。今回は、皆様の小説を通じて、それを改めて深く学ばせて頂きたいと考えています。どんな形でも本気で、しかし楽しく愛について考え抜いた小説を読みたく思います。私見ですが、小説は、それが言葉で記されたフィクションである限りにおいてすべてが自由です。たとえばですが「架空の教授が書いた愛についての架空の論文」という形式でも私は喜んで読みます。もちろん軽薄な恋愛小説でも全く構いません。その中であなただけの愛が書かれているならば。

どんな賞であれ、本当に試されているのは作品ではなく審査員です。そういう覚悟で毎回読んでいますので、よろしくお願いいたします。


偽のマヤ:健康的な時間にこんにちは、不健康な時間にこんばんは。偽のマヤです。今回の偽物川小説大賞に評議員として参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。癖にストライクでも地雷でも、大賞に推す作品は公正に考えるよう心がけます。講評も精一杯書かせていただきます。よろしくお願いします。純愛に兼愛に友愛に親愛に恋愛に寵愛に別愛に敬愛に博愛に割愛に純愛に溺愛にうぉーあいにー……様々な愛をお待ちしておりますよろしくお願いします。



ではスタートです。張り切ってどうぞ~。

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