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中腹辺りの座りやすい場所で四人は腰をつけた。
ここまでゾンビは来れない。
佐々木が穴を掘る。水がにじみ出てくる。そこでアユミと松浦は丹念に足を洗う。破傷風になったら生死にすら関わる。
アユミは泣き言を言わなくなった。他の三人も言わない。
[火の手が落ち着いたら当分屋上生活だな]
佐々木がポツリと言う。
[下の民家は?]
松浦の言葉。
[木造はダメだ。ゾンビが入って来る]
[今まではどこに?]
[マンションの二階や屋上だ。場所はなんとかなってた。一番困ったのは水だ。都会は飲み水がない]
佐々木は答えた。
町の水道は全て浄水場に繋がってる。浄水場は電気がなければ稼働しない。どの蛇口からも水は出ない。
[ここなら水が出る]
松浦が言う。
[そうだ。それに川があるし魚も獲れる]
佐々木は答え立ち上がりそばに流れてる清水を手で弾いた。。
[ここら辺りのどこかに家を作るか]
[道具がないよ]
[下の民家を探せばあるだろう]
佐々木が答えた後は誰も喋らなかった。
誰もが蚊に刺される。ユウキが痒いと泣き言を言った。
[死ぬよりかマシだろう]
佐々木は答えた。
松浦は怒りが湧くも、怒れば体力が無くなるのを知っていた。と同時に今までの生活がいかに楽だった事に気付く。
アユミや佐々木が来てからおかしくなった。と思うと同時にアユミや佐々木が来てから快適になったのも事実だとも思った。
[夏でよかった]
松浦がつぶやく。
[蚊がいなければな]
佐々木が話し相手をしてくれる。
佐々木が降りてビニールシートやコップ代わりの器、破れた衣服。なんとか使えそうな物。を持ってきた。
[ゾンビは二十体くらいいるぞ。とても一人では倒せない]
息を切らせながら話す。
結局、夕方までその場を動けなかった。
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