.28
佐々木は松浦を起こし調達に行く旨を伝える。
松浦はうなづくとまたドアを閉めた。まだ寝るつもりだろう。
アユミは、松浦は冬眠してる熊みたいだと思った。結局動けばお腹が空く。動くメリットはあまり無い。松浦が正解なのかもしれない。とも考えた。
佐々木親子は小さなウサギとキノコ。調味料と本を調達して来た。
雪で足跡が心配だと佐々木は言ったがどうする事も出来ない。
見つからない事を祈るしか無い。
そのキノコにアユミが当たった。
かなり酷い腹痛。男達も食べたのだが三人とも平気みたいだった。
アユミは免疫や体力が落ちたのだと思った。更に悪い事に一年近く来なかった生理が来た。
当然、男達は心配したがユウキが一番親身になって動いてくれた。
アユミは素直にユウキにお礼を言った。
三日ほとんど寝たきりだったが回復し、もう死ぬまでキノコは食べない。と冗談を言えるくらいになった。
本格的な冬。
年々と寒くなってきている。と佐々木もアユミも言った。松浦はずっと引きこもっていたので気付かなかった。
春まで薄暗く退屈だが、暖かで安全な施設で真冬を過ごした。
春になり梅雨が来て夏になる。
私達以外の人間が全員死んだように思えるくらい、人間は一人も来なかった。
生活は相変わらずだった。食料に川魚が増えた。獲るのは佐々木の作った罠だ。それを更に区切ったイケスに入れる。佐々木の存在は欠かせなくなっていた。
誰も病気も怪我もなく、衣食住の心配の無い毎日。ゾンビも焼却炉に落ちていく。
あとは、この平和な生活がずっと続いてくれればいい。
誰もが心の底から願ってる希望だ。
セミの声ですら暑く感じる夏のある日。
今までの幸運だった生活に不幸が一気にきた。焼却炉が燃えた。火事になった。
ゴミや調理用のカマドの灰は焼却炉に破棄している。後で結論を出した事だが、落ちたゾンビが器具を破壊しそこに引火。それ以外考えられない。
大きな音と共に焼却場は燃えた。
終わりはあっけなかった。四人ともかなり落胆した。ただあれだけ大きな爆発であったにもかかわらず、誰も怪我ひとつないのが救いだった。
四人は身一つで近くの民家の二階に居座る。が、ゾンビがすぐ集まる。このままだと出られなくなる。だが行く当てもない。
ゾンビが次々と押し続ける為、ドアが始終ガタガタと鳴る。一階のガラスが割れる。ゾンビの侵入。
四人は移動せざるおえない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます