10ターン目になった。
ユアが脱出に成功したから順番は、侵入者、アスカ、ナナミ、カナとなる。
カナの特技が使えるのは自分が移動した後になるのかとナナミは思った。
更に一部屋後退するか、それとも同じような場所を行ったり来たりした方がいいのか。
ナナミが居る2―Cの教室の扉が開いた。
「アスカもこの教室に逃げて来たんだ」
正直心強く思えた。ここに来ての選択肢が運命を分ける。友達がそばにいてくれるのはありがたい。
あれ、アスカの手が色黒くなってる。
長い髪の毛も金髪に染めていたはずなのに真っ黒だ。
サラサラなストレートヘアーは、ただ不潔なだけのウェーブがかかっていた。
「アスカ・・・?」
ナナミが発した最後の言葉になった。
テーブルの上に寝かされたナナミは両手両足をロープでテーブルの脚に縛り付けられた。
逃げることが出来なかったのはゲームの仕様なのか、恐怖で動けなかったのか分からない。
教室に入ってきた侵入者によってナナミは担がれ、テーブルの上に投げ捨てられ、袋からロープを取り出された。
今はもう本当に動くことが出来なくなっている。
悲鳴すらあげることが出来ず、自分でも不規則な呼吸をしていることが分かった。
目の前には所々が破れた衣服に身を包み、ボサボサ頭とボロボロの皮膚をした巨漢が立っている。
その男は拷問器具が入った紙袋を床に置くと、両手でナタを握りしめた。
大きく振りかぶってナナミの胴体めがけて振り下ろされる。
アスカやカナが何か叫んでいたのかもしれないが何も耳には入ってこなかった。
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