女子校脱出ゲーム

田仲ひだまり

プロローグ

「女子校脱出ゲームって知ってる?」

同級生のアスカから突然聞かれた。いきなり質問してくる時は、そのことについて何かしら関係していることが多い。


今度は一体何だろうと疑問に思いながらも、ナナミはその女子校脱出ゲームというものを知らなかったので、素直にそのことを告げた。

その返事を待ってましたとばかりにアスカは話し始める。

「マイナーなボードゲームなんだけどね、すごく面白いの。今はスマホゲームにもなっていてさ。女子校に不審者が侵入してきて、生徒達はそいつに見つからないように学校を脱出するっていうものなの」

嬉しそうに話すアスカの様子を見るのは嫌いではなかったが、そのゲーム自体は少し怖そうに思えた。

まあ、ボードゲームくらいだったら一緒にやろうと誘われればやってみてもいいけど。


「それでね。今度そのゲームを実体験できる施設がオープンするんだって。6G回線を利用していて、本当にその世界に入り込んだような映像で、自分自身がプレイヤーになれるの。そのモニターに応募したら当選しちゃった」

「6G回線?」

ナナミのつぶやきにアスカは本質はそこじゃないという感じの勢いで簡単な説明をしてきた。

「私もよく分からないけど、今は5G回線でネットを繋いでいるじゃん。6G回線になるととにかく凄くなるのよ」

6G回線についてはよく分からなかったが話はなんとなく見えてきた。その体験施設に行こうというお誘いってことね。


うーん。怖そうだから気乗りしないんだけど、最新映像を駆使した施設っていうところには魅力は感じる。

まあ、バーチャルなお化け屋敷やジェットコースターを楽しむと思えばいいかとナナミは思った。


アスカの話はどんどん進んでいく。

場所は新宿にあって電車で行ける距離だ。日時も高校が休みの日曜日。

行くことが決定してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る