噛みつき症候群
──だるい……。
それが良平が思ったことだった。
体調が悪いとかではなく、単なる学校の授業が面目なだけ。
学校や仕事が始まる月曜に憂鬱な気分になるのはよくあると思うが、今の良平はそれだけではない。
桃花が隣にいないことが関係している。
昨日、独占したいと言ってから学校まで一秒たりとも離れず、イチャイチャしまくりだった。
それなのに今は学校の授業のせいで桃花が側にいない。
二学期が始まる前は妹の親友というだけだったけど、付き合い出してからは桃花がいるのが当たり前の生活になっていた。
学年が違うから一緒に授業を受けられないのはしょうがないが、何故か凄い違和感を感じる。
桃花に会って抱きしめたい……授業の内容が入ってこなく、良平はそんなことをばっか考えてもしまう。
そして今、最も思っていることは……桃花の首に噛みつきたいということ。
映画の時以外は桃花から求めてきたが、今は良平が求めてしまっている。
早く授業が終わって昼休みになってほしい。
そうすれば桃花に噛みつくことができる。
お弁当を食べるより桃花の首に噛みついて、この欲求を満たしたい。
悶々としながら授業を過ごした良平だった。
☆ ☆ ☆
「桃花」
「お兄さん、きゃ……」
授業が終わった瞬間にお弁当を食べる場所に向かい、すでについている桃花に良平は抱きつく。
先日と同じ場所で食べるために辺りには人がいなく、良平は桃花の首に思い切り噛みついた。
「お兄さ……はぁん……」
いきなり噛みつかれたことで驚いた桃花であったが、離さないように良平の頭を抑えて全てを受け入れる。
そしめ噛みつかれたことにより、桃花は身体を震えさす。
桃花はすぐに蕩けた表情になって、甘い声も漏れている。
「好きなだけ噛みついて……やぁん……」
噛みつかれることが快感になっている桃花には立っているのも厳しいのだろう、力が入らなくなり良平に身体を預けてきた。
良平はそのまま階段に座り、桃花は頑張って彼の背中に腕と足を回して密着する。
「はぁん……学校なのにヤバいです……」
桃花は大きく身体を震えさすが、良平が噛むのを止めることはない。
さらに力を込めて噛みつき、噛みつきたいという欲求を良平は満たしていく。
桃花が何度身体を震わせても止めず、ずっと噛みついて離さない。
「はぁぁぁ……お兄さんがこんなにも……幸せです……」
九月一日に恋人同士になった時は本当に興味がなさそうだった良平だけど、今は自分から桃花を求めてくる。
桃花にとってこれ以上の幸せはないだろう。
脅してまで彼氏にした甲斐があったというものだ。
それから十分のも間、良平は桃花に噛みついたままだった。
☆ ☆ ☆
「ごめん、噛みつきすぎた」
授業中、悶々としていて桃花と会った瞬間に暴走してしまった良平はようやく落ち着き、桃花に謝った。
「大丈夫ですよ。噛みつきなくなったらいつでもしてください」
「そうさせてもらう」
数時間会わなかっただけでもこうなってしまったのだから、桃花に甘えることにする。
「でも、ちょっと下着が大変なことになってしまいますが……」
噛まれることが快感なのだがら、桃花は性的興奮を覚えてしまう。
だから少し辛い気持ちがあるだろうが、良平の言葉で我慢している。
ここが学校というのもあるのだけど。
もし、良平が望めば学校でもするつもりでいる可能性が高いが。
「大変に? 何で?」
「昨日も思ったんですが、お兄さんは性知識がほとんどないようですね」
「学校の保健体育で習ったからあるぞ」
「もしかしてそれだけですか?」
桃花の言葉に良平は頷く。
学校の授業ではあまり詳しいことはやらないから、良平には何で大変なことになるかわかっていない。
「女の人は抱かれたいと思うと濡れてしまうんですよ」
抱かれたいと思っていても恥ずかしいようで、桃花の顔は真っ赤。
「はあ……。ということは桃花はずっと濡れているのか?」
良平は常に桃花が俺に抱かれたいと思っていると考えた。
「流石にそれはないですが、先ほどまでお兄さんに噛まれていたので……それに匂いや感触などが相まって興奮してしまいます」
「そうなのか?」
「はい。確認してみますか?」
「いや、いい」
そう良平が答えると、桃花は残念そうな顔をした。
ここは学校なので、下着の確認なんてしたいと思っていない。
良平は桃花に抱きついて噛みつけるだけで充分満足なのだ。
「まあ、確認したくなったらさせてもらうから」
「はい。いつでも好きなだけ確認してくれて構わないですからね」
いくら良平でもジッと見たり興味を持って触ってきたら興奮する可能性があり、抱かれたい桃花にとっては嬉しいことだろう。
そうなれば本当に結婚まで待ったなしだ。
「……また噛みつきたくなってきた」
「どうぞ」
桃花が自ら首筋の髪をどかすと、良平は先ほどと同じ箇所に噛みつく。
既にしっかりとした歯形が出来ているのにも関わらず、良平は跡が消えないようにこれ以上ないくらい力を入れる。
良平から与えられる痛みは何でも快感になるのか、今までと比べて大きく身体を震えさせてしまう。
「はぁぁぁ……痛気持ち良い……もっと、もっとです……」
二人はお弁当を食べることも忘れ、ずっとイチャつくのであった。
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