第530話【ランス魔物狩りを楽しむ3】
<<ランス視点>>
イリヤが突然言い出して、仕方無くとった1ヶ月もの休日。
そして休日が明けて、俺は新たな問題に直面していた。
そう、俺の亜空間内に残っている魔物の処理についてだ。
「お兄様、無計画に狩りなんかするからだわ。」
「そう言うなよ。久しぶりに身体を動かしたら、面白くて、ついね。」
「はー。大体、限度ってもんがあるでしょう。
どうするのよ。
世の中には食べるものにも苦労している人達がたくさん居るって言うのに。」
「そ、そうだ!イリヤ!それだ。
貧困や戦争で食糧難の人達に配ろうよ。」
「あのね~、そんなことが簡単に出来てたら今頃やっているわよ。
大体、困ってる人達の実態を掴んでいる政府って、殆ど無いのが現実なの。
だから、こちらから支援しても、上手く配れなかったり、酷いところなんか、軍事費に回したり、政府高官が、搾取したりして、キチンと困ってる人達に渡ったためしがないのよ。」
「それなら、国際連合内に組織を作ればいいじゃないか。
そう、そうしよう。
アースにはそんな組織は無いのか?」
「ランス様、アースの国際連合内に、『世界食糧計画』という組織があります。」
秘書のひとりが教えてくれる。
「世界食糧計画(WFP)か。
ウチだったら『異世界食糧計画(AFP)』だな。
よし、すぐに作ろう。」
「ランス様、アースの世界食糧計画なんですが、残念ながら上手く機能しているとは言い切れないのです。」
「どうしてだ?」
「基本的には国際連合は内政不干渉なので、その国に食糧を提供しても、その後の処理はその国の判断に委ねるしかないのです。
ですからイリヤ様の仰ったように、そういった支援が必要な発展途上国ほど、最末端である、貧困層に届かないのです。」
なるほどな。それなら、こちらで作っても、同じ事になるのが目に見えているな。
うん?そうだ!カトウ運輸を使おう。
カトウ運輸をラスク星の星営企業から国際連合の直営にしてしまえば良いんだよ。
カトウ運輸なら、ほとんどの加盟星に確固たる基盤を持っているし、既に貧困層の救済も行っている。
1企業への肩入れが駄目なら、カトウ運輸を国際連合配下にして、その中の1組織として異世界食糧計画を立ち上げたらいいじゃないか。
早速お父様に相談だな。
「お父様、カトウ運輸をラスク星の星営企業から国際連合の直轄にしたいのですが。」
俺はお父様に、考えを伝えた。
「うむ、いくつか問題点は浮かぶが、なかなかいい案じゃないか。
アースにはカトウ運輸のような機関が存在しないからな。
カトウ運輸を国際連合の直轄にしてか……………
もしかすると画期的な改革が出来るかもな。
よし、やろう。
次の総会は来月だろう。
ランス、上手くやれよ。」
「はい、頑張って纏めます。」
こうして、カトウ運輸の国際連合直轄化と、異世界食糧計画(AFP)を立ち上げる為の準備が大急ぎで進められることになったのだ。
ランス魔物狩りを楽しむ編 完
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