第260話 【謎の病気2】
<<マリス視点>>
最近セラフの機嫌が悪いのよね。
あの子達って人工生物だから、元々感情なんて無いはずなんだけどね。
まぁマニュアルには、長い間使っていると、人工知能が感情に似た反応を覚えることがあるみたいなことを書いてあるけど。
もうそろそろ1億年くらい一緒にいるから、感情のひとつやふたつ出てきてもおかしくはないか。
でも人間界に行ってから、より感情が強くなったみたいなのよね。
まぁいいけどね。
ところで今日は久しぶりに休日なのよ。
本当に最近忙しくって。
過労死するかって思うわよ。
死なないけどね。
管理局も、過労死しないことがわかってるから、いくらでも働かせるの。
労働基準法もなにもあったもんじゃないわよ!
ピンポーン。ピンポーン。
あら、宅配便が届いたみたい。
そう言えば梵天堂スオットの『ようこそ天罰の森』を買ったんだっけ。
これ最近流行っているらしいのよね。
ちょうど良いわ。
早速始めようかな。
魔力玉をセットして、スイッチオンっと。
まず世界を選んで、次に主人公を選ぶ。
主人公は、そうねイリヤちゃんにしようかしら。
セラフから聞いたけど、イリヤちゃん頑張っているみたいだし。
じゃあ、スタート。
『スリトー王国サヤマ村』の森の中から始まったわね。
今イリヤちゃんが実際に居るところね。
マニュアル、マニュアル。
ええっと、座標の白マルがイリヤちゃん、青マルが一般人、灰色マルが犯罪を犯しそうな人、黒マル
が犯罪者ね。
あっ、青マルが黒マルに追いかけられているわ。
マウスを合わせて、クリックっと。
拡大表示出来た!
_…__…
あなたは今、森の中にいます。
女の子『サキヤ』が犯罪者『ワラク』達に追いかけられています。
助けますか?
はい ○
いいえ X
_…__…
どうしようかな。
あっ捕まっちゃった。
助けてあげなきゃ。
はい ○ を選択っと。
ふたりに掴まれてちゃ逃げられないか。
ひとりが放すのを待って、あっ今放した。
今よ、『サキヤ逃げる』を選択っと。
あっ逃げたわ。
よし、ここで天罰ね。
『天の金縛り』コマンドっと。
よしっ、上手く動きを止められたわ。
後はサキヤちゃんを安全なところに誘導して終わりね。
『天の声、誘導』コマンドっと。
「あなた、さあ早くこちらに!!」を選択。
上手くサキヤちゃんを誘導出来たようね。
さて点数は… 160点!
幸先が良いわ。
この調子で頑張ろう。
<<イリヤ視点>>
今日は久しぶりに薬草探しでスリトー王国のサヤマ村に来ています。
先日、スリトー国王がお父様のところへ御礼を言いに来られた際に、この森に不思議な薬草が生えているという伝説があるとの情報を教えて頂いたの。
その話をシルビア先生にしたら、すぐに行こうってなって。
近くの村から山を登ること2時間。
その薬草が生えているらしい泉まで来たわ。
昔竜が住んでいたと言われるだけあって、少し薄気味悪い感じ。
でも泉の周りにはシルビア先生も知らない草がたくさんあったから、シルビア先生は大興奮。
今日は急いで来たから亜空間バッグを忘れちゃったんだ。
もう暗くなって来たから、今日はこれでお終い。
少しずつ積んで一旦村に戻ってから、明日また採取に来ることになったの。
ここに転移魔方陣を置いておけばいつでも来れるからね。
村に戻ると村人達が広場に集まっていた。
宿屋に行くと、女将さんが広場の人の輪から抜けて来る。
「お客さん達、森の中に行っていたんだろ。
大丈夫だったかい?」
「何かあったのかい?」
「いやね、村の子供がお客さん達が行くって言ってた辺りで、悪い奴等に拐かされそうになったんだよ。
取り敢えずは無事に逃げて来たらしいんだけどね。
その悪い奴等っていうのがさあ、王国を乗っ取ろうと企んで、お家を潰されたヤマトー侯爵の残党だっていう話しでね。
この村に襲ってこられた場合の対応について話していたんだよ」
セラフちゃんがやっつけた奴等ね。
本当に迷惑なこと!
「それって、わたし達も関係あるから、お父様に連絡してみますね。」
「あらお嬢ちゃん、貴族の令嬢様かね。」
「ええ、お父様達は貴族じゃないって言ってますけど。
あっ、お父様。
わたしイリヤです。
うん、はい、今スリトー王国にいるの。
うん、サヤマ村ってところ。
それでね、この前セラフちゃんが懲らしめたヤマトー侯爵家の残党が、この村の近くに潜んでいてね、悪さをしているらしいの。
王様に連絡して、兵士様を派遣してもらえないかなぁっておもって。
うん、うん、えっ、お父様が来てくれるの?
今暇だからって?最近ちょっと運動不足だしって?
うん、番号は、684231。
わかった。待っているね。」
「マサル様がなんだって?」
「今暇だし、最近運動不足だから、自分で来るって。」
「全く、あの方は!
王様になっても変わらないねぇ。」
シルビア先生のため息が大きい。
「シルビア先生、わたしは、王様じゃないですよ。」
「あー、びっくりした。
マサル様、もういらっしたのですか。」
「さっきイリヤから転移魔方陣の番号を聞いたからね。
ところで、こちらはこの村の方達ですか?」
村人の皆さんは、突然人が現れたので、唖然として固まっていた。
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