第192話 【亜人大陸の発展】
<<マサル視点>>
スパニのラモス王、ロンドーのアーク王、ヤコブのルソン王、ヤライのカーン王の4人が揃って、亜人大陸経済連合の調印式が行われたのは、スパニの騒動がひと段落してから、ほぼ1年後のことであった。
その間ラモス王とハリー宰相は閣僚の一新と地方に新しく配置した知事の教育、ジャボ大陸との交易、国際連合への加盟と慌ただしい日々を送っていた。
もちろんカトウ運輸は、全力でサポートさせて頂いたのだが。
有力者を一新したことで、非常に効率的に行政改革を進められた。
新領主と主要代官には既に改革を終えた他国の領地に視察に行ってもらったため、行政改革のイメージが掴み易かったのが大きいだろう。
特に領主は、前任領主の失態を取り戻すために必死になっている者も多く、実際に改革作業への参加に志願した者が目立った。
とにかく、スパニが落ち着き、何とか他の3国と平等な交易が始められる程度までは改革が進んだため、4国に平和及ぶ交易に関する条約を締結したのである。
これにより、亜人大陸は通貨の共通化や、商売の自由化等を決定した。
もちろん、ジャボ大陸と亜人大陸との交易強化を行うために、カトウ運輸が亜人大陸に支店を設けて物流強化を行ったことは言うまでもない。
こうして亜人大陸は一丸となって更なる発展を遂げていくことになった。
「マサル殿、カトウ運輸もほとんど1つの国に匹敵するくらいの規模になったのではないか?」
「ネクター王、そうですね。売り上げ規模は確かに小国の歳入程度はあるかもしれませんね。」
「いやそればかりでは無いぞ。各国に対する物流や商売の影響力は半端なものでは無いぞ。」
「そうですね、マサル殿のことを英雄や神の使徒と崇める国も多いですから、経済力や物流や商売の影響力だけでなく、思想面でもこの世界における最も高い影響力を持っていると言えるでしょう。」
今俺は、キンコー王国王城にいる。
ネクター王、ガード王、レイン皇帝に囲まれている。
ジャボ大陸だけでなく、亜人大陸まで国際連合へ参加したため、俺が1国の貴族であることが自然でなくなってきたらしい。
俺は今のままで充分なんだが、そうもいかないらしい。
「そこでだ、マサル殿、国を作って王にならんか。
独立国になってくれた方が、何かと都合が良いのだが。
我が国の沖合いにシークニという無人島があるのだが、そこで建国すれば良い。」
「確かにあそこなら広さも旧ハーン帝国くらいありますし、ハローマ王国との距離も近い。
我が国とも水路ですぐですね。
ちょうど良いかもしれません。」
「おお、確かにあそこなら我が国とのキンコー王国や我が国とも大きな橋を架ければ陸路でも繋げられる距離じゃの。
橋を架けるのもマサル殿だったら、簡単じゃろうて。」
どんどん話しが進められていく。
「ち、ちょっと待って下さい。
建国って、わたしはあまり目立ちたく無いんですよ。
それが王なんて……」
「いまさら何を言ってるのですか。
今世界中で、あなたほど有名人はありませんよ。
目立ちたく無いなんてあり得ないでしょう。」
「そうじゃ、諦めも肝心じゃ。」
「よし、そう決まれば早速手続きに掛かろう。
ヘンリー、シーク二の件頼んだぞ。」
「はい、既に始めていますので、来月には準備が完了します。
あとマサル殿、閣僚候補も選んであるので、後で確認して下さい。
それと移民が殺到すると思うので、受け入れ基準も決めておきましょう。」
ダメだ。もう決定済みだったようだ。………
屋敷に帰って、リズに話すとやはり呆れられた。
家宰のクリスさんとメイド長のアリスさんにも話しをしたが、物凄く喜んでいた。
「当然だと思います。旦那様ならきっとこれまでのどの王様よりも凄い賢王になられるでしょう。」
「まぁしょうがないわね。冷静に考えれば、わたしが王の立場なら、同じことを言うわね。
まぁ一緒に頑張りましょう。」
リズは既に受け入れたようで、クリスさん達と今後のことについて盛り上がっていた。
その後、ヘンリー様と様々な調整を行い、来月の国際連合総会で発表することとなった。
国際連合総会では、全会一致で承認され、俺の建国は決定事項となったのだった。
第8章完
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