第125話 【入学式】
<<ランス視点>>
馬車で小学校に着きました。
裏門を入って進んで行くと馬車がいっぱい停まっています。
馬車で来てるってことは、貴族なんだと思う。
僕達と同じくらいの子供を見つけた。
胸には僕と同じ1の数字。
友達になりたくて早く降りたいけど、馬車がなかなか止まらない。
途中、同じバッチを付けた子供が何人もいた。
いちばん奥まで来て、やっと馬車が停まった。
僕はいちばん近くにいる男の子のところに駆けて行った。
「僕はランスです。今日入学します。
あなたは1年生ですか?
友達になって下さい。よろしくね。」
僕は頭をちょっと下げて挨拶すると、その子に友達になって欲しいと言ったんだ。
そしたらその子もニタァと笑顔を見せてくれた。
やったあ。友達第一号だ。
よし、次だ。
「一緒に連れて行ってもいいですか?」
隣にいるその子のお母様に尋ねると、「よろしくお願いします」って言ってくれたので、その子を連れて次の子のところに駆けて行った。
あっという間に、友達がたくさん出来たんだ。
途中で女の子もいたから、イリヤを呼んだ。
イリヤも友達ができたみたい。
良かったね、イリヤ。
友達になった皆んなと一緒に校舎の扉をくぐる。
もちろんイリヤとその友達も一緒。
『新入生はコチラ』の案内に従い講堂に入って行くと、既にたくさんの人達がいた。
先生に案内されて、自分達の席に座る。
皆んなの両親はここで保護者席に行ったから、僕達子供だけになった。
友達になった皆んな以外にも新入生はたくさんいた。
皆んなと友達になりたいな。
お父様とお母様は、式典で講演するから、別行動なんだ。
お爺様や叔父様達は来賓席に座ってコチラに手を振っている。
イリヤがちょっと恥ずかしそうだけど、僕は嬉しくて手を振り返した。
後でイリヤに怒られたけど、なんで怒られたんだろう?
少しすると壇上に校長先生が立って話し始めた。
「みなさん、入学おめでとうございます。今日は、お日柄も良く、空は澄み渡り、鳥は集い、キノコは………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
長~い。
これがパターソン先生が言ってた校長先生の長い話か。
しばらく聞き流していたら、後ろの保護者席から歓声が聞こえてきた。
壇上を見ると、いつの間にか校長先生がいなくなり、お父様とお母様がいた。
「本日は、救国の英雄マサル様と聖女リザベート様にお越し頂きました。
皆様ご存知の通り、おふたりはご結婚され、マサル様は公爵位を叙爵後、国際連合総裁として大陸の平和維持活動に日夜精進されておられます。
おふたりのお子様が本日入学されることになりましたご縁で本日はご多忙の中、講演頂けることとなりました。」
司会進行の先生が、かなり興奮しながらお父様達を紹介している。
お父様は、国際連合の活動内容と設立の経緯、支援のお願いを話していたんだけど、話しが終わっても拍手が鳴り止まないから、お母様も行政改革の話しをせざるを得なかったみたい。
『アンコール、アンコール』って騒いでいる人達もいるしね。
先生方は、熱心にメモを取っていて、時間が経つのも忘れているみたい。
あんまり長いから、ユーリスタさんの方を見たけど、ニコニコしてる。
あっ、目があった。
長いから止めて欲しいって目で訴えたんだけど、手を振ってきてる。
絶対伝わって無いよ。
しょうがないからユーリスタさんを諦めて、校長先生を見る。
校長先生も一生懸命に話しを聴いていて僕に気付かない。
校長先生の頭の上にちょうど時計が掛かっていたので、魔法を使って時計を校長先生の膝の上にゆっくりと落としたら、びっくりしてやっと気がついたよ。
時計を見てやっと話しを止めてくれた。
お父様、お母様の講演が長過ぎて、生徒は皆んな退屈しているんだけど、先生方も保護者の皆さんも満足してるからとりあえず大丈夫なのかな。
途中から入学式か講演会か分からなくなっちゃたけど、今日から僕達は小学生になったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます