第123話 【小学校からのお誘いと自然科学】
<<ランス視点>>
僕達は3歳になりました。
今年は参加人数が50人を超えた誕生会も盛況に終わり、秋は入学シーズンです。
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キンコー王国での学校制度がここ数年で大きく変わっているので紹介しておきます。
小学校は、5歳から11歳まで、中学校が12歳から14歳まで、そして高等学校と専門学校が15歳から18歳までになります。
王立アカデミーは高等学校になります。
専門学校は、魔法や武術、生産、薬学等の職業訓練をする学校で、それぞれの業務の即戦力を育成します。
19歳から入学できる高等専門学校という学校もあり、高等学校や専門学校を卒業した者が、更にその分野を極めるための教育機関としてあります。
ちなみに、高等専門学校は何年いても大丈夫だそうです。
高等学校、専門学校の教師になるには、それぞれの卒業が前提になります。
高等専門学校は、学者の集まりのようなものだと考えて下さい。
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僕達2人のところに小学校の入学案内が来ました。
本当は5歳からなので、まだ3歳の僕達には資格が無いはずなんだけど、体も能力も5歳以上なので特別にネクター叔父様が送って下さったようです。
確かに、皆んなに体が大きいって言われます。
お父様に聞くと、「魔力が大きいと成長が早く、寿命も延びる」そうです。
普通は5歳までに魔力が大きくなることは無いので小学校に飛び級なんて無いそうですが、中学校以上は少ないですが飛び級する人もいるそうです。
お父様が、魔法をよく使っているので、キンコー王国を含め、魔法がだいぶ一般的になってきたそうで、魔法を使える人が増えてきているそうです。
今まで使えないって思っていたのに使ってみたら使えたというやつです。
まぁ、全然少ないですけどね。
その魔法を使える人の中でも僕達は異常だと言われていますが。
今日は、ユーリスタさんとお母様、イリヤでお買い物に行っています。
女の子は、小学校に通うのに可愛いい服が必要みたいです。
僕も誘われましたが、あの長い買い物は苦手なので断りました。
なんで女の人の買い物ってあんなに長いんだろうね。
僕はひとりで魔法の練習中です。
火、水、風、土、光は、初級であれば使えるようになりました。
魔力の量もありますが、初級と中級の差は、イメージのし易さだと先生がおっしゃってました。
初級は、イメージし易いから簡単に使えるけど、中級になるとイメージがし難いんです。
例えば風魔法だと初級のウインドカッターは、手で風を切って押し出すイメージだからなんとなく分かるけど、中級のタイフーンは、風が渦巻いて飛んで行くイメージ。
実際に見たことが無いと分かり難いでしょ。
ところで、魔法のイメージなんだけど、先生とお父様でだいぶ考え方が違うみたい。
例えばタイフーンの魔法だけど、先生は『溜めた風を手でかき混ぜるように』イメージするらしいけど、お父様は、『温かい空気を急激に上に上げる』イメージって言う。
僕としては、パターソン先生の言っている方が、イメージし易いと思う。
でも、パターソン先生がお父様の言うようにイメージしたら、すごく効率的にタイフーンが出来たって興奮していた。
「タイフーンの現象は自然界でも時折り発生しているんだよ。
この自然に発生するメカニズムを魔法で再現すれば、効率が良いはずなんだ。
だから、魔法を効率良く使うには様々な現象とそのメカニズムを勉強する必要があるんだよ。」
横でパターソン先生が一生懸命にメモをとっている。
「カトウ公爵、わたしは目から鱗が落ちた気持ちです。
感動しました。
先程公爵に説明頂いたイメージの仕方でタイフーンを発動しましたが、非常に小さな力でタイフーンを起こすことができました。
規模が小さかったのは、わたしがそのメカニズムを知らないからイメージが未熟だったからだと思います。
今まで、魔法の研究に時間を費やしてきましたが、これからは自然化学に傾倒し、魔法の発動イメージの改革を起こして行きたいと思います。
カトウ公爵、師匠と呼ばせて下さい。
お願い致します。」
「パターソン先生、師匠というのはどうかと思いますが、自然科学を研究し、自然災害に対して対応できるようになれば、魔法にだけでなく行政や民の暮らしにとって有益になることは間違いありません。
一緒に研究して行きましょう。」
「カトウ公爵、ありがとうございます。
わたしは、自分の視野の狭さに呆れるばかりです。
自分の研究が民のためになるのであれば、これ以上の喜びはありません。
よろしくお願い致します。師匠。」
よく分からないけど、先生はお父様の弟子になったみたい。
でも先生がここまで、お父様を尊敬するなんて、やっぱりお父様はすごい人なんだなぁって思う。
以降、パターソンはマサルの指導の元、様々な自然現象の発生メカニズムを研究、解明していく。
また、ランスからこの日の話しを聞いたヘンリーは激しく感動し、クラークやネクター王等と共に『自然科学研究所』を設立し、そこから得られる情報は、大陸中で発生する様々な自然災害の予防や事前予知に役立ったのである。
パターソンは後に『自然科学の父』と呼ばれるようになる。
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