異世界転生した私は、たった一つの不器用な魔法で生きる

文屋旅人

第1話 異世界転生をしました

 異世界に転生する。

 非科学的であるが、いざ自分に降りかかると何とも言えない怒りしかわかない。

 私はごく普通の書生であった。

 風雅を愛し、花鳥風月を愛でるただの書生でした。

 しかしながら、死にました。

 俗にいうエコノミー症候群、欲しかった文学全集を購入し読みふけっていたのだ。

 そうしたら、水も飲まず二日ほど読み続けていたのが悪かった。

 私の脚の血管には血栓ができ、それが詰まって私は死んだ。

 そして、気が付いたら異世界に転生していたのだ。

 何故異世界に転生したか分かったかというと、私の頭の中に魔法の使い方が浮かんできたからだ。

 意味が分からぬ、頭がかき回されるような感覚がすると共に魔法の使い方を脳みそに放り込まれた。

 こうして私は、自分が異世界に来たという事実にどうしようもない憤りを感じながら生きていくことになったのだ。

 ちなみに、私が使える魔法はたった一つ。












「筋肉回復魔法、か」




 これは私への天罰なのだろうか?

 鍛えろと? そして生き残れと?



          続く

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