魔法の使い方
街道を歩きながら僕は魔法を教わっていた。
「いいか? 魔法の使い方は簡単だ。魔力に命令式を与えるんだ」
「魔力に、命令式を与える?」
「そう。例えばだフォレス。簡単な魔法、カリーナなんか魔法使ってよ」
「分かった。行くよ」
カリーナが指先に魔力を集中させた瞬間に、それが水に変わった。
「これが、魔法。カリーナ、今どんな命令式を与えたの?」
「えっとね、『空気中の水を集める』って命令式だよ」
「なるほどね。うん、分かったよ」
「え? これだけで分かったの!?」
「ほんと? それじゃ、やってみてよ」
「分かった。それじゃ、カリーナと同じく水を集めるよ」
そして、僕はカリーナとは同じ命令式で水を集めた。
そう言えば、どのくらいの魔力量でやるのか聞いてなかったな。大丈夫、だよね?
それが、杞憂で終わることもなく、僕の目の前にはカリーナの数倍はある大きさの水の塊が出現した。
「うわっ!」
「……何この量? びっくりした」
「え? フォレス、どんな命令式を与えたの?」
「えっと、『水を集める』って命令式だけど……」
本当に、それだけ。他に、なにをやったかというと、魔力を込めただけ。少しだけ、中学生の頃の授業風景を思い出したりしたけど……。多分、関係ないと思う。
「ほんとほんと」
「もしかして、込めた魔力が多過ぎたのかもな」
「あー、それなら納得」
「込める魔力の量? そんなの変えられるの?」
「変えられるよ。まずは、そこからだな」
「魔力は謂わば身のうちにある生命エネルギー。それを外に出して使うのが魔法と言われるもの」
「なるほどね。それじゃ、その、魔力が無くなったらどうなるの?」
「気絶する」
「おぉ、簡単で怖い回答」
「それじゃ、今から私が魔力の量を調節するから私の身体全体を見ててね。最初は少ない量からそこからどんどん増やしていくからね」
カリーナが掌を上に向けてそこに球体の魔力を集中させた。そして、どんどん魔力が掌の上の球体に集まってどんどん大きくなっていく。
言われた通りに身体全体を見てみると、魔力が全身から掌に集まっていくのが分かった。
「これが、魔力の調節の仕方だよ。分かった?」
「うん。やってみるね」
そして、みようみまねでやってみるが、上手くいかなかった。うまく掌に魔力を移動できずに掌の球体もカリーナのように綺麗な球体にならない。すぐに、球体が弾けて消えてしまう。
「あれ? ダメだ。全然出来ない」
「うーん。フォレスって魔力で鎧とか作るときどうしてる?」
「えっと、魔力を内側から神経を伝わせて全身に行き渡らせて、それを鎧の形に変えてって感じかな」
「それじゃ、自分の感覚でやってみてよ」
「分かった」
リュクスの言う通りに自分の感覚でやってみると、うまくいった。球体も綺麗で弾けて消えてしまう事は無さそうだ。
「なんだ。出来るじゃん」
「……うん。出来た」
「じゃあさ、もう一回水を集めてみて。次は私と同じぐらいに調節してね」
「うん」
そして、さっきよりもだいぶ少ない魔力を使い水を集める。
そうすると、カリーナの水の球体と同じ大きさの水が出現した。
「おぉ、うん。いい感じ」
「これが魔法か」
「それと、フォレスの魔力の鎧も命令式を与える事で色んな鎧が作れると思うよ」
「まじ? それは楽しみだな」
そこで、僕はやってみたい事が出来た。なので、やってみる。
「ねぇ、リュクスとカリーナ、少し離れて」
「え? 何するの?」
「ちょっとやってみたい事があるんだ」
「??? 分かった」
そして、2人が離れたのを確認して僕は想像した。僕がやろうとしているのは重力操作だ。
何故かって? そんなの決まってるだろ。出来たらカッコいいでしょ!!
と、言うことで、僕は目に見えない下方向のベクトルを下矢印で可視化できるように想像した。
目に魔力がどんどん集まっていく。
(……見えた!!)
そして、ほんの少しの魔力を使って下矢印を巨大化させた。すると、50㎤の穴が目の前の地面に空いた。
「「!?!?」」
それに、2人は驚き。僕は魔力の使い過ぎで気絶した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます