美女女神から授かったチートスキル〜魅了〜を駆使して現代社会でたくさんの嫁を娶りたい!
月風レイ
園児編
第0話 プロローグ
ターンタタターン♪
ターンタタターン♪
ターンタタターンタタターンタタターン♪
淀みない流麗な音色が白に整えられたこの場の空気を包み込んでいく。
耳心地の良い音楽と共に、閉じられていた或る扉が開き、その扉から昼間の外の光が会場に注ぐ。
春の陽光に当てられた陰が二つ。
陰が会場の中へと入ろうとすると、
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
盛大な拍手が会場内を覆う。
流美な音楽と共に登場し、スポットライトに当てられている、白いドレスを着た女性と銀色のタキシードに身を包んだ男性に向かって、多様な言葉が送られる。
「おめでとぉぉ!」
「恵ちゃん! 綺麗だよー!」
「ヤッベェ……綺麗すぎねぇか?」
「…………くっそぉ。羨ましいなぁ、おい!」
「…………死ねばいいのに……」
「あつきくん……かっこいい……」
2人の結婚という吉事を順数に祝うもの。
清美雪白なドレスを見に纏った、濃艶な女性の姿に興奮するもの。
男の理想を体現したような綺麗な女性を手籠にした新郎に対して、嫉妬、あるいは度を越して怨嗟の念を抱くもの。
そんな中にも僅かながら新郎の晴れ姿に見惚れるもの。
様々な人物がいる中を徐行蛇行しながらもゆっくりと会場内を回り、会場の奥の特別に設けられたステージへと向かっていく。
ステージを白を基調としているものの、絢爛な花が装飾されていた。
白いドレスを着た女性はエスコートしてくれている銀色のタキシードを着た男性に向かって
「ねぇ……あつき。わたし今とてもとても幸せよ。あなたと出会えて、こうやってあなたと結婚できるなんて……夢にも思わなかった……」
会場内を歩きながら、隣にいる新郎に聞こえるくらいの小さな声に妖艶さを含ませて。
対して、タキシードを着た新婦も
「あぁ。恵。俺もこんな綺麗な女性と結婚できるなんて夢にも思わなかった。俺をえらんでくれてありがとう。必ず幸せにするよ!」
新婦はと隣の美しい女性だけに聞こえる小さな声に固い意志をずっしりと詰め込んだ調子で。
「えぇ……ありがとう。愛してる」
「あぁ。俺もだ。愛してるよ……めぐみ」
拍手喝采を全身に浴びながらも、2人だけの空間というバリアをもって、今日のために敷設されたステージに向かって歩みを進める。
純白のドレスを着た新婦と銀色のタキシードを着た新郎が着席をして、ようやく宴の開始が宣言される。
今日はきっと人生に一度きりの晴れ舞台。
俺、篤樹と妻となる恵の晴れ舞台。
結婚式の披露宴。最高の思い出にしなくては…………
⭐︎
….……………………………
….……………………………
….……………………………
俺はぼんやりとした思考の中、重たく閉ざされた目蓋をゆっくりと開いていった。
俺の焦点はぼんやりとしていて完全に合っていなかったのだが、寝転んでいる中、時間が経つにつれて思考も視界もクリアになっていき、
すっと立ち上がって俺の瞳に映るのは、広大な白銀色の空間だった。
一面が平地であって遠くは地平線のように少し丸みを帯びている。
俺はいつもよりもかなり軽く感じられる体をスッと起こしたあと、自分が立っている白銀色に染まる景色を観察した。
俺が周囲を観察をしていると、突如として俺の足元に、植物のツタのようなものが勢いよく生え出し、そこに種々数々の美しい花々が一斉にパァっと咲き出した。
瞬く間に、白銀色の世界が幻想的な色鮮やかな世界へと移り変わり、先程、現れた花々が俺を違う場所へと誘うかのように花道を創り出していった。
ここは俺の夢の中なのか……
それにしてもやけにリアルだな……
とりあえず、頬をつねってみよう
俺は自分の頰を人差し指と親指で挟んでうねってみる。
痛みは感じる……
ってことは、ここは夢の中ではないみたいだな……
じゃあ、ここは一体どこなんだろう……
俺は幻想的に彩られた空間の中を蝶が花を追うが如く、花に誘われるがままに、創り出された花道をゆっくりと辿っていった。
俺はかなりの距離を歩いたはずだ。
それでもまだまだ花道は続いている。
全くゴールが見えてこない……
俺はいま、どこに向かって歩いているんだろうか……
距離にして何十キロも歩いたはずだ……
それなのに何故かは分からないが、俺には疲れる気配が一切感じられなかった。
ものすごく体が軽い。
足はしっかりと地面に着いているのに、宙に浮いてるかのように感じる。
俺は見知らぬ場所にいることに不安感を覚えるよりも、どこか暖かいものが自分の体内に入ってくるのを感じるのであった。
気持ちいい……
ずっとお風呂に入っているそんな感じだ……
ずっとここにいたい……
白銀色の世界に幻想的な美しい花々によって覆われた空間。
足を進めていくごとに俺の周りには、色鮮やかな光の粒がぼんやりと光って漂っている。
淡いぼんやりとした光の中からはどこか楽しげな様子が窺える。
俺は突如として訪れてしまった場所を神秘的なものだと思った。
あれからもかなり歩いただろうか、ようやく色鮮やかな花道に終わりが見えてきた。
俺は歩みを少しだけ早め、最後の花のアーチをサッと抜け出した。
そして、俺の目に映ったのは城のように高くそびえたった教会だった。
その教会は真っ白だった。汚れひとつない純白。美しく荘厳。なんと言っても神秘的。
俺はそんなものを真っ白で大きな教会から感じ取った。
俺は教会の門を潜り、真っ白な大きな扉の前へと足を運んだ。
俺が今まで歩いて来た道に人影は一つも見当たらなかった。
俺はその大きな扉の前で一呼吸をおいてから、自分のありったけの力をこめてその扉を両手で押し開けた。
そして、扉が開かれた先は眩しく輝いてよく見えなかった。
ぼんやりと見えるのは誰かがいるということくらい。
俺はゆっくりとその誰かへと向かって歩みを進めた先には1人の女性がいた。
この世のものとは思えないほどに整った顔。そう、そこには絶世の美女がいた。
美女が玉座のように装飾された椅子に座って、俺が来るのを待ち構えていたのであった。
教会の色と調和した、白銀の髪。
この世の真理を見透かすような碧色の力強い双眸。
体格はスラリとしているのだが、程よく肉付きがある。
出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。
俺はその美しい女性をみて、唾をごくりと飲み込んだ。
「よく来たな」
美女の声は教会のパイプオルガンの如く、教会の隅々まだ響き渡り、俺の耳を鷲掴みにし、脳内を揺さぶった。
威圧感があるものの、それでいてどこか暖かく心地よい。
すっごく綺麗な人だなぁ。でもとりあえずはここが一体どこなのかを聞かないとな……
「あのー。突然、訪れた身で申し訳ないのですが、ここはいったいどこなんでしょうか?」
美女はニッコリと笑みを浮かべいた。
やっぱりこの人すっごく綺麗だなぁ……
「ここは、神界じゃ。そして、我はこの神界の住人、つまり神じゃ」
俺は彼女が発した唐突の内容に、顎が外れたみたく口を開きっぱなしにした状態だった。
「えっ!? あなたは神様? ってことは俺って死んだんですか!?」
俺は完全に冷静さを失っていた。
死んでしまったのか、という不安が全身を駆け巡ったからだ。
俺の不安を察してくれたのか……
「先走るでない、お主は死んでおらんよ。むしろ、お主からここに来るのを強く望んだんじゃろ。そうでないと神界なんぞ、そう簡単に来れぬぞ」
「俺がここに来たいと強く望んだ、そう言っているのですか?」
「そうじゃ、わしの下へと来た、ということはそういうことじゃな。わしは愛を司る神じゃからな。おそらく愛に関することに強い何かを感じていたんだと思うがのー」
美女から発せられた、愛という言葉を聞いた途端に、俺の中に先ほどまでの膨大な情報が脳内を駆け巡り出した。
俺はさっきまで、結婚式の最中だったはず……。俺の歳は26で、会社に勤務するごく普通のサラリーマン。そして、会社の上司であった女性と3年間交際したあと婚約して、そして、先ほど結婚式を迎えたはず……
俺が結婚した女性の名は天野恵(アマノメグミ)、100人全員が口を揃えて可愛いと言うほどの美人。俺はそんな彼女と結婚できることを本当に幸せに思っている……
あれ!? 俺、こんなとこで何してんだ!? 早く結婚式場に戻って恵に謝らなくちゃ……
「元の世界いた世界へと戻るのはいいが、お主は本当にそれで良いのか?」
俺、一言も声に出していないんだが……
愛の女神を自称する美女はどうやら、俺の心の中を読み取ることができるらしい。
「えっ!? 何をおっしゃっているのですか? もちろん早く元いた世界に帰りたいですよ! なんせ、結婚式は一生に一回の晴れ舞台ですよ!」
「ふぅ〜〜ん。本当にそうなのか? お主は愛に関して何かしら強い不満を抱いていたからこそ、愛を司る女神であるわしのところへ来たのだと思うぞ?」
この女神様、何言ってんだ……俺に不満があるはずなんてないだろ!? あんな美人さんが俺の妻になるんだぞ!? おかしなことは言わないで欲しい……が、一旦とりあえず彼女の言うことも聞いてみよう
「愛に関する不満!?」
「そうじゃ、不満じゃ。お主には心当たりはないのか?」
「えぇ、全く当たりません!」
そりゃぁ、そうだろ!? 俺が不満なんて抱いていたら全国の男に袋叩きにされるぞ!?
「そうか。じゃあ、わしの目を見てみろ!」
俺は美女女神に言われるがままに女神の碧色の瞳を覗き込んだ。
その瞬間、頭の中をグチャグチャにかき混ぜられたような激痛が俺を襲った。
そして、女神を自称する美女が盛大に笑い始めた。
女神の笑い声が教会内を覆った。
「お主! あれだけ不満はないと言っておったくせに、しっかりとした不満を持っておるではないか! それになんとくだらん! お主の不満はわしにとっては本当にくだらんものだったよ! よくも、まぁこんな不満だけでわしの所へたどり着くことができたものだ。愉快、愉快」
俺はそんな女神の姿を黙って眺めていた。
この女神様、急にどうしちゃったんだろう。すごい美人なのに残念系なのかな……
そして女神はそんな俺の様子をみてか愉快そうに語り始めた。
「お主の深層心理をわしの瞳を使って、覗かせてもらったよ。よって、お主が抱いている愛に関する不満の全てを知ることができたのじゃが……どうだ? お主自身はその不満の正体を知りたいか? 教えずに元の世界へと戻す事も可能なのだが……」
「えぇ! それはもちろん、教えていただけるのならば……」
「そうか、よかろう。では教えてやろうではないか」
女神はそんな俺の様子を愉快そうに眺めている。
女神から言葉が発せられるその瞬間、あたりがしーんと静まり返った。
そして、女神から告げられた不満の内容。
それは……
「ハーレム願望じゃよ。お主が愛に関して抱いている不満は。お主はそのハーレム願望を心の奥底で強く抱いている。それもかなりひどく尋常ではないくらいにな。NTRを批判するオタクのように可愛いキャラクターへの執着心。そして束縛欲。そんな願望じゃ。つまり、現実世界において、お主は可愛い女の子をみんな、自分のものにしたいという願望を強く抱いてここまで来たということだな。しかも結婚式の最中にな!」
俺はそんな女神の発した内容に怒りを覚えるどころか、納得した気分だった。何故だか今まで溜まっていたものがストンと落ちていくのが感じられた。
あぁ。なるほどな……今まで感じてきたモヤモヤはそういうことだったのか……やっと納得することができたよ。それはいいのだが……
「何故僕はそんな不満を抱いてこんな場所へと来てしまったのでしょうか」
そんな様子の俺に女神は再び大笑を起こした。
「そんなの、決まっておるではないか。お主はワシに力を求めたんじゃよ。お主の心底くだらん願望を叶えるためだけの力をな。まぁ、ワシも久方ぶりの来客でかなり気が高揚しておる。だから、そんなくだらん望みも叶えてやらんでもないぞ?」
望みが叶えてもらえるかもしれない……そんな響きをきっかけに、俺の心の奥底に潜んでいた本能がぷくぷくと浮かび、姿を現し出した。
先ほどの弱々しい様子から一変して、強気な男が顔を覗かせた。
「ほう、お主もとうとう、化けの皮を見せたか」
「はい。女神様のおかげで俺の本当の気持ちに気づくことができました!」
「そうか。それはよかったな。それでワシに力を求むのか?」
「えぇ、お願いします」
俺はそんな甘美なささやきに、なんの躊躇もなく即答した。
「おい、お主! もう少し神を疑ったらどうなんじゃ? ワシが悪神だったら、どうするのじゃ? 力を与える代償に酷い目に遭わせられることだってあるのじゃぞ?」
俺はそんな女神の言葉に首を振って答えた。
「だって女神様はとっても可愛いじゃないですか! 可愛いなら何してもOKです! 可愛いは正義、いや、可愛いこそが正義なんです!」
俺は熱く可愛いという正義論を女神に語ってやった。
そんな俺の様子を美女女神は内心呆れた様子で眺めているのであった。
「まぁ、いいじゃろう。それで、お主は具体的にどんな力を望むのだ? 叶えられるのはおおよそ3つくらいだから慎重に考えるのじゃぞ? それとお主を元の世界に返す際にお主の今まで生きてきたところならどこでも任意の時間へと送りことができるぞ。それも踏まえて考えてみてくれ」
俺は頭を必死にフル稼働させて、俺の理想のハーレム作りへの最適解を模索していった。
「じゃあ、まず自分の身体を自由自在に変えられる能力をください。これを使って、美形で高身長。さらには運動能力抜群の王子様キャラを目指します!」
「あぁ、そうか。じゃあまず一つはお主の願望にあった【身体操作】を授けよう」
まず、俺は一つの特殊スキルを美女女神からもらった。
「うーんと、じゃあ次は、【鑑定】系のスキルが欲しいんですが、これがあれば、恋愛において情報戦では負けなくなりますからね」
「あぁ、あるぞ。ちなみにワシが渡す【鑑定】スキルは【親愛度鑑定】といって、どれだけ相手が自分のことを愛しているかがわかる仕様になっておるから、親愛度が高い時はそれをみて喜ぶことはできるのじゃが、親愛度が低い場合はかなり傷つくだろうよ」
「そんなこともあろうかと、最後の願いも考えてありますよ。最後の一つは女どもが俺のことを見るだけで俺のことを大好きになるようなスキルをください。これさえあれば、ハーレム人員だけで国だって作れますよ」
そんなウキウキした様子の俺に女神は現実を突きつけた。
「すまんが、お主が欲しがっているようなスキルはない……だが、【魅了】というスキルがあることはあるぞ。このスキルはお主の望んだスキルとは内容が違っていて、少し特殊でだな。先ほど親愛度について話をしただろ。この【魅了】スキルを使うと、任意の対象(狙っている人物を除く)に対して親愛度の値を固定し、下げないようにすることができるのじゃ。まぁ、つまり他の人からは嫌われなくて済むという感じじゃな。そして、さらに親愛度が80%以上の相手に対してだけは相手をメロメロにさせる効果があらわれることもある。その効果の発動条件は相手との体液交換じゃ。まぁ、簡単に言えばキスすれば良い。じゃが、このスキルを使った相手とは必ず婚姻を結ばなければならないの。そこがこのスキルのデメリットでもあるのじゃがな。まぁ、こんなスキルを使われて放ったらかしにされる女の子の身にもなってみたら、当然のデメリットであるがな。まぁ、浮気、あっすまん。ハーレムを望むお主にとったらこれほど便利な能力はないんじゃないか」
「そうですね。女神様、【身体操作】【親愛度鑑定】【魅了】スキルでお願いします!」
「そうか、わかったよ。お主にはこの三つの能力を授けよう。あっ! それとお主には望みにピッタリ合うスキルを与えられなかったから、特別に称号をいくつか渡しておいたから元の世界に戻ったら確認してくれ」
「何から何まで、本当にありがとうございます、女神様!」
「いや、気にするでない。ワシも久方ぶりに人と話すのは楽しかったぞ。その礼だと思ってくれれば良いよ」
「はい、わかりました。こんな美しい女神様に出会えて、俺はとても幸せですね。よかったらですが、俺が死んだらどうか女神様の下僕として僕を神界に呼び出してください」
「そうか、わかったよ。お主が死ぬのを待っていてあげようではないか。それでお主はいつ頃に戻りたいのだ?」
俺は少し記憶を探りつつ、考えたあと美女女神に向かってこう語った。
「俺が6歳の時でお願いします」
そして、女神様に別れを告げたあと、俺は女神の手によって元の世界へと戻されたのであった。
俺が6歳の時へと飛ばされていったのであった。
そしてこれから、チートスキルを駆使しての、俺によるハーレム作りが本格化する。これがいずれ、日本を揺るがすものとなるとはこの時、俺は全く考えていなかった。
さぁ。狩りにいこうか!
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