南の告白

休息の間で南とたわいもない話をしていた


 俺の幼馴染、南。ほとんどの人が知らないだろう


 南とは小学校の頃からの付き合いだ


 家もすぐ近くで中学校も高校も同じだった


「高野君は私の事許してくれる?


 私、怖くて聞け無かった


 正直、ここまで連れて来てくれたから、聞いてる


 私ずるいから


 高野君は私の事持ち上げてくれるけど


 私、幼馴染なのにあなたを助け無かった冷たい女よ」


「南は学校への行き帰り、俺に声かけてくれたじゃ無いか」


「南だけがいぢめに加わらなかった


 俺、南だけには感謝してる」


「みんなが見てないところで自分だけいい子になってただけよ


 私はあなたが思っている程いい娘じゃ無いの


 私の初恋はあなたよ


 私は初恋の人を見殺しに出来る程冷たい女よ」


南の告白に俺は驚いた


 南とは小学校の頃仲良しだった


 でも、中学校位から離れていった。


 成績は俺の方が良かった。でも、南は優等生で俺は問題児だった


 家どうしもなんとなく疎外になっていった


 住む世界が違う


 俺も親もそう思った


「なんで俺なんかを?」


「高野君、雨の日なんどか傘かしてくれた


 自分は濡れるのに


 公園で捨て猫こっそり育ているのも知ってた


 高野君は優しいのよ。私と違って」


南の告白に驚いた。でもそんな事ない。優しいのは南の方だ


「そんなの南の優しさに比べたら」


「私のは計算よ


 自分でも、嫌になっちゃうの


 みんながどうすれば、自分に好感持ってくれるか簡単にわかるの


 ね!


 嫌な女でしょ


 みんな計算。高野君にだってそう、嫌われたくは無かった


 でも、みんなの間に入って止める勇気は無かった


 あの施政官、みんな罪人だと言ってたけど、本当にその通り


 自分だけいい娘になるなんて、神様は許さ無かったのよ


 高校生になっても、少しあなたへの気持ちがまだあったの


 なんでだと思う?


 私はあなたが天才なの知ってた


 だから、あなたが大学に行ったら、一緒の大学に行こうと思った


 あなたは大器晩成の人だと思ったから


 要は将来の旦那様を値踏みしてたのよ


 どう、これでも私の事許せる?


 小学校の頃の南はとっくにいなかったの。計算高い女になったの」


「南。それでも僕は君が好きだよ。小学校頃の思い出は忘れられない


 俺にとって南は永遠に特別な人だ


 俺の初恋も南だよ」


「はは、両思いだったんだ


 でも、中学校の頃はそれでもお付き合いしなかったわよ


 私は計算高い女だから


 先の事は分からないわ


 だから、中学生の頃は好きでも決して付き合ったりしなかったと思う


 私はそういう女。全て計算なのよ」


「止めて、南。どうしてそんなに自分を貶めるの?」


「あなたが本当の私を知ってどう思うか知りたかったの 


 これでも私に好感持てる?」


「今でも、好きだよ。小学校からずっと


 釣り合わないけど、好きだよ


 好きなだけならいいだろ?」


南は泣き出した。


「高野君は小学校の頃から変わらない


 あの頃のまま、なのに私は自分の事ばかり考えてた


 人の気持ちがわかるから、人の気持ちを手玉にとって


 そんな娘を今でも、好きだなんて


 なんで高野君は女の子になっちゃうのよ


 今なら。私、計算抜きであなたの事好きになれるのに


 あなた、知らないでしょう


 私、たくさんの女子から相談を受けた


 あなたの事が気になる娘はいっぱいいたわよ


 あなた、ちゃんと髪とかしたら、


 島村君や秋山君と同じ位かっこいいのよ


 あなた、以外とモテたのよ


 私も驚いたけど、女の娘って影のある男子好きなのよ


 容姿良くて、影があるあなたは結構需要あったの


 私、焦ったわよ。後からのこのこ来て、


 あなたを取られたら、どうしようって」


「みんなにはなんて言ったの?


 俺の事?」


「やめた方がいいって言った」


「どうして?」


「だって、取られたく無いもの」


「南......」


「嫌な子でしょ。私、自分の事ばっかり......」


「いや、俺嬉しいよ。そんなに気にしてもらえたら


 何も気にされないよりずっといい


 それに、やっぱり、南はいい人だよ


 みんなの気持ちが分かっちゃうから、自分が嫌になるだけだよ


 俺だって、みんなの気持ちがわかったら、南と同じ様にする


 だって、みんなから好かれるの誰だって気持ちいいもん


 南は計算じゃないよ。ただ、みんなが求める南になっただけだよ。


 それでみんな南の事が好きなだけなんだよ」


「ありがとう


 私、転生して、良かったと思う


 ずっと、自分を汚いと思いながら生きるの嫌だった


 告白も出来たし」


「ねえ。もし、俺が男に戻れたら、俺と付き合ってくれる?」


「うん。もちろん。私、計算じゃ無くて、本気で


 私の為に頑張ってね。もちろん私も協力する


 未来の旦那様が女の子だと、私もちょっと困るので


 高野君なら出来そうな気がする


 私、転生して良かった。計算じゃ無く、


 本当に自分の心に従って告白出来た


 何年ぶりだろうかな、こんなに素直な自分になるのは、


 高野君と遊んでた頃以来かもしれない


 私、もう計算ばかりで生きない


 自分で嫌になっちゃた。素直な今の自分の方が好き


 高野君が飛び降りた時、私、胸が張り裂けそうだった


 後悔とそして、自分の気持ちがわかったの」


「南。ありがとう。俺、必ず男に戻るよ」


「うん」


南の告白を聞いて俺はスッとつま先立ちで南にキスした


......俺の方が背が低い、南とキスすると自然につま先立ちになる


「ねえ、高野君、二人っきりの時は遙って呼んで」


「じゃ、俺の事も蒼と呼んで」


「蒼君」


「遙」


もう一度二人でキスした

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